リヴァロさんと愉快なユニットたち

□君の名前
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「何で僕にはいっつも敬語なんだい?少し位は砕けた言い方……してくれたって良いじゃないか…」

二週間ぶりに会った俺の親友は…
開口一番そう言った。

「仕事中ですし。第一…今の私と貴方では身分が違いすぎます…」

慣れてしまった返事に、親友であり、自分の主であるアルフレッドは悲しそうな顔をする…

昔は、要らない理由でしょっちゅう会っていたものだが、
最近は……いや、二年以上前から私情で会うことはめっきり減った。

……からなのか、何時も会うたびに「敬語を使うな」的なことを言われ続けている…

「ちょっとだけでも…」

「勘弁してください。
それに、これから会議なんですからその話し方は……」

「……分かっている」

正直…ほんと懲りないなコイツ…
というのが本音だ。
何せ先程も言ったように二年以上もこの状態である。
少しは諦めてくれれば楽なのだが……

それは願うだけ無駄なのだと最近知った。

「今回の議題は?」

「エンジェルフェザーの救護兼物資隊による物資の支給ルートの決定
そしてオラクルとの行商締結
オラクルの技術は魔法技術にも応用できる確率が高いそうです
そしてメインは今、停戦中の帝国との和解案の決議
そして、進行を深めているシャドウパラディンの対策です」

「そうか…」

隣で鎧の擦れる音を聴きながら…
淡々と内容を話していく。

アルフレッドはその内容を黙って聞くだけのようにみえたが、時おり考えるようなそぶりも見せている…

何か、考えがあるのだろうか…
俺は、敢えてそれを聞かずに歩を進めた…







「やっと………終わったな…」

「今回は長かったですね…」

まぁ、基本帝国の事でも長引くのにそれに付け加えてシャドウパラディンの事もあったから長引くのは当たり前か………

「今回は議題が多かったからかもしれないな…」

疲れた声で喋るアルフレッドの隣で俺もため息をつきながら歩く。

「ブラスターブレード…。
この後、北棟の三階にある旧執務室に来てくれ…。
話したいことがある…」

「はっ、了解しました」

……北棟?
普段使われない部屋が多い棟か…
それにしても、旧執務室…か
機密の話でもあるのだろうか…

そんなことを考えながら、他の仕事を終わらせ北棟の三階にいく頃には
日は傾き群青の空が多い始めていた…

廊下の窓から見えるビル群は青い光を放ちながら町全体を包むように光っている……

ユナイテッドサンクチュアリの王都の魔法技術は世界一
それを支える科学技術もスターゲートに及ばないもののユナサン屈指の技術力を持つ。

そして、科学と魔法を掛け合わせたものを使用し国を造り上げてきた…

目の前にあるビル群はある意味その象徴なのかもしれない…

そう思いながら…。俺は旧執務室のドアの前に立つ。
三回ノックすると、入るようにと声がかかった。

「失礼します…」

部屋に入ると旧執務室の面影はなくやや生活感のある部屋になっていたことに俺は驚く…。

「アルフレッド様……これは…?」

「ここは、私が仕事の都合上帰れなくなったときに使う部屋だ。
わざと『旧執務室』のままにすれば入ろうとする人は少ないからね…」

まぁ。仕事が終わらないと帰れないからね…

などというアルフレッドに
俺は開いた口が塞がらなかった。

いくらなんでも働きすぎだろ…。

「お体に悪いですよ。週に一回でも…休日をとらないと…」

「君だって人の事言えないだろう?
それと、今日はもうオフだから…」

そう言って兜を取ると長い金糸がさらりと顔にかかる…
アルフレッドは少々鬱陶しい様子でそれを払い簡易キッチンにたった。

「はい、コーヒー。
確か、ブラスターブレードは濃いめなのが好みだったよね?」

「あ、それくらいなら私がやります!」

「いいのいいの…。それと、ブラスターブレードも鎧脱いでいいよ」

コーヒーの独特の香りが漂うなかアルフレッドは俺にそう告げる。

「あ、はい…」

ソファーに座りながら連結具を外し一つ……また一つとはずしていく…

鎧を脱ぎ終わると同時にシャツとズボンが渡され、俺はそれに着替えた。

「ありがとうございます」

「ふふ、どうーいたしまして♪」

アルフレッドは俺の隣に座るとコーヒーの入ったマグカップを置く。

「この前の演習どうだった?」

「……可もなく不可もなく…ですね。強いて言うなら第二部隊に居るガルモールの成長が早い…というところですかね…」

馴れた事務口調で喋るとアルフレッドそっか……と一言。

取り合えず、俺は黙ってコーヒーを口に含んだ。

強い苦味が口のなかに広がりほぅと息をつく。

「そう言うアルフレッド様はどうなんですか…?」

長い沈黙に耐えきれなくなって俺は話題をアルフレッドに変えると、当の本人は驚いた顔をした。

「色々、あったよ……
古株の参謀とのいざこざとか
シャドウパラディンの事とか…

それと……


君の、出生の秘密とか……ね」
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