短編倉庫

□クリスマスイブの光 (紅黒)(G)(ほのぼの?)
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『着きましたー』



「遅いですよ!もう( `ω´ )」



『文句ならエレベーターにでも言ってください』



レンさんは相変わらずの服装で正直恥ずかしくないのかと思えてくる……。
というか、もう冬だぞ?
流石にそれは寒くないか?



「ふふ、これは特注だから寒くはないんですよ」



『!!?Σ(゚ロ゚;)』



ふ、不意打ちエスパーめ!
いきなり心を読むなよ!



「分かりやすいのがいけないんですよ?こんな可愛い顔して〜」



ふにゅと頬を軽くつねってくるレンさん怒っているんだか面白がっているんだかわからない。
そして可愛いと言われてゾッとする。



『可愛いとか言わないでください。
可愛くないですし、言われると鳥肌立ちます』



「ひどいですねぇ〜」



だって事実だし、可愛いって言われるの嫌いだし。



『で、どこ行くつもりなんですか?』



黒字に赤いチェック柄が入ったマフラーを首に巻きながら、私はめんどくさそうに質問する。



クリスマスとはいえ、今日はイブ…
明日は休暇をとってクロノたちと共にクリスマスパーティーをするという約束だった。
なので今日は仕事でも仕方ないと妥協していたのだが…



「あ、あそこのケーキはすっごく美味しいんですよ!どうせだから食べていきません(*ˊ˘ˋ*)ニコニコ」




『そうですね。食べて行きましょうか』



こんなに嬉しそうなレンさんを見ていると物凄く不思議な気分になる。
まるで今日仕事だったのが嘘みたいだ。



「どうしました?体調悪いのなら教えてくださいね」



『いえ、大丈夫です』



少し深刻そうな顔をして私を見てくるレンさん。



体調悪いのなら……か
まぁ、あながち間違ってはいないけどさ…。
後任の支部長として尻拭いさせられてるような状態で疲れない方がおかしいよ。
まだ、みんなから信頼を得ているわけでもないし。



『……大丈夫です…けど…』



「けど…?」



ホントはもうやりたくない…



言いそうになった逃げの言葉を慌てて押し殺す。
逃げたら負け。
みんなが…理由はどうであれ私を推してくれた。



期待に応えてあげたい。



「無理しないで、言っていいんですよ?僕達も、あなたに重荷を背負わせてしまっているのは自覚してますから」



嘘つけ、そんなこと思ってないくせに



『いいえ、言いません。
絶対に、言いたくないんです。
逃げたくない。だから………』



そっぽを向くように顔を背けた私にレンさんは少し悲しそうな声で呟く。



「…やっぱり、信じてはくれないんですね…」



『………』



思っていることを指摘され、少しだけムッとする私。
私は、昔から人を信じるのは苦手なのだ。



信じろと言われても、まず先に疑ってしまう。



「好き」という言葉なんて、ハナから信じてすらいなかった。



あの時までは……。



「信じてくれなくてもいいですよ。
でも、そんな話より何より……」



クイッと手をひかれると先にあるのは先程話していたケーキ店…。



『?』



「ケーキ。食べましょう♪」

ニコッと笑うレンさんはやっぱり何考えてるのかわからない。



『あなたの奢りならいいですよ』



「ええ、どんどん頼んでください!」



『え!?その反応は予想外っ!!』



「それはそれで酷いですよー」



レンさんの残念そうな顔を見ながら私は笑った。



昔と今は違う。
昔からうわべだけで生きることが多かった。



でも、やっと……。
私は人を信じる第一歩をふめたんだと思う。



皆のお陰でね。




でも……

もっと。頑張りたいと思えるのはきっと………。




君に会いたいからなんだ。




私は、自信を持って君に会いたい。
初めて本気で信じることが出来た君に
…初めて好きだという感情を教えてくれた君に。



アイチ……今なら君に。
この想い…伝えられる気がするんだ。
でも、怖くて会いに行けない。



臆病でごめん。



もっと頑張って…会っても自信を持っていられるように、もう少し頑張るよ。



『いつか言えるといいな……』



「?」



『何でもな〜いです。店に行きましょうレンさん』



不思議そうに首をかしげたレンさんに苦笑いして先を進む。



これから先のこと、不安だらけでも今日と明日は楽しませてください。



神様…。

〜 Fin〜
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