DREAM

□気づいて
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サボり場所に行くと、名前ちゃんがお昼寝してた。



珍しいこともあるもんだ。






風邪を引いたら困るだろうと思って起こしてみる。


「おーい。名前ちゃんー?」



呼びかけたり、肩を揺すったりしてみるけど起きる気配は無かった。









いつもはキリッとしていて、かっこいいプロデューサーなのに。

今はあどけない女の子だった。




「んー。困っちゃうなー。」



彼女は気づいてないだろうけど、俺は高校の時から好きだったわけだし。


目の前で気持ちよさそうに寝られたらイジワルもしてみたくなる。







ほっぺを突っついても起きそうにないことを確認する。



「爆睡じゃん…。」





ゆっくり、彼女の頬に手を添える。

ゆっくり、彼女の唇に近づく。

ゆっくり、彼女の唇と重ねる。





唇を離して、彼女の様子を伺うと相変わらず起きそうになかった。




少しほっとして、もう一度彼女の顔を覗くと何故か顔が真っ赤だった。




「あ、あれー?名前ちゃん?」


まさかと思って呼びかけると、その瞼がゆっくり開かれた。


「起きてたの?」


「…はい。」






やっちゃったなー。ゆっくりアピールして気づかせるつもりだったのに。

こんなアクシデント…。


「あ、悪意は無かったのよ。ちょっとした出来心っていうか……。」


俺らしくゆっくりやっていく予定だったけど、予定変更だね。



「んー。でも、名前ちゃんに騙されて俺ショックだなぁ。」




わざとらしく言うと、名前ちゃんは顔を真っ赤にして慌て始めた。




だからさー。そういう可愛いことしちゃダメだって。




俺にだってかっこいいとこあるんだぞって反撃したくて、もう一回名前ちゃんにキスをした。




もちろん名前ちゃんはパニックになってたけど気にしない。






「こんなとこで寝ちゃだめだよ?俺みたいに襲うやついたらどうするの?」




「そ、そんないるわけないじゃない!」



気づいてないだけなんだって。
こんな男だらけの場所でさ、君のこと狙ってるやつなんてたくさんいる。






逃げられないように名前ちゃんの両頬に手を添えて目を合わせる。





「いい加減さ、気づいてよ。


好きだって。」







耳まで赤くなっちゃったから、少しかわいそうになって手を離してあげる。





こういう反応が返ってくるってことは脈なしではなさそうだね。








俺は上機嫌で名前ちゃんと一緒にレッスンに向かった。

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