クライま〜ずハイ↑2WS

□≪くらいむ-13≫ラヴホテル「パレス・マンゴー×ストロベリー」
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その日、ゲームが行われるかは、イベント等の特段の予定が無い限り、腕時計が鳴るまでは、参加者は知る由もない。

塔介はいつも通り、ホテルの売店で購入した菓子パンとコーヒー牛乳で朝食を済ませると、午前中、いつも通りJR聳え台駅へ足を運ぶ。
駅ビルの老舗百貨店「そびえと」の屋上、ミニ・ゲーセン・コーナーへ入り、日課のテト○スをこなす。



お昼、いつも通り、すでにヘビー常連客となっていた駅ビル5階「モス桑バーガー」をやめ、今日は3階フロア衣類売り場を大胆に占拠する「赤の広場」へ行ってみる。
広場中央のホットドッグ屋でホットドッグを買い、広場に並べられたテーブル&チェアの一つに座って、ホットドッグにがっつく。


夏休みの平日の正午、広場は"あの"≪聳え台駅リターンズ≫のゲームの激闘がウソみたいな穏やかさ。
塔介の周囲には、滑り台で遊ぶ親子と、おそらく塔介と同じ「頂第二中学」生徒で知らぬ女子二人組のみ。
広場に流れるBGMは、タトゥーからカワムラリューイチの「グラス」に変わる…

「どこが穏やかだよ、モグモグ!
こんなBGM、落ちつくか、モグモグ!
タトゥーは女子二人組がレズに見えてくるし、親子には教育上よろしくないだろ、モグモグ!
グラスは、もうロシア無関係、バンドのボーカルの曲になってんじゃないかふぉ〜〜〜!
(メチャクチャな選曲だな…)」



昼食を済ませた塔介の腕時計が鳴る。
だが、ゲームのお知らせではない。

クライま〜ずハイ↑も月日が経ち、ホテル生活も長くなってくると、ゲーム以外の空いた時間を利用して、一部の参加者同士が集まって何かをし始める。
そんな参加者同士のグループが幾つも出来て、言わばサークル活動をするようになった。

塔介は「サッカーサークル」に参加していて、そこからのお誘いであった。

「ふむ、試合か…」

塔介はホテルへ戻る。



ピィィィ!キックオフ!

人気サークルでもあり、2チームで対戦、+レフェリーの頭数は充分。
塔介のゲームの際の馴染みメンバーはヤンキー高校生柱谷[サッカー経験者]だけで、他は別グループの面々。
サークル活動は、普段は異なる場所でゲームをこなしている、参加者同士の交流の場となっている。

サッカーボール・キーパーグローブ・チーム分け用のビブス等備品は、ホテル内売店で購入可能。
されど、場所は?
真夏でも冷房のきいた広いスペース…
そんな条件をクリアした絶好のピッチ・コンディションが存在した!
それは………ホテル1階ロビー!
で、サッカーする暴挙。

「ち…力ずくなサッカーサークルだな…
ホテル丸ごとクライま〜ずハイ↑貸切でなきゃ、出来ねぇ荒業だ。
(つぅか、あれだけサッカー選手名ばかりなのに、経験者1人だけかよ…)

と言いつつ、攻め上がるぜふぉ〜〜〜!」

ボールを受けた塔介は、サッカー部時代と同じ右サイドバックのポジションでドリブルする。

「ヘイ、パス!パス!」

中央で、ひときわ可愛い大声でパスを要求する、なぜかサッカーサークルに参加している、ま〜ずちゃんだが、当然、皆パスは出さない。

ゴール・ライン[白テープ]・コーナーフラッグは全て売店で揃えた。

「白テープラインはわかるが、あの売店にゴール売ってんのかよ!
まじもんのゴールじゃねぇか!(しかも2つ)
て、センタリング、ふぉ〜〜!」

塔介のセンタリングを見事頭で合わせ、ゴールを決めたのは、ウンダカ人のオットー[仮名]だった。
麒麟の湯の激闘以来、塔介たちの前から姿を消していたオットーだが、あんな塔介とのいざこざがありながら、今、チームメイトとして息の合ったプレーを見せた。

たとえ争っていた間柄であろうと、国境を越えて、共にプレーできるのがこのグローバルスポーツである!

「これ、何の物語…?
本題外れてる、ふぉ〜〜!」
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