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□少女Aの見解
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「もしもし。母さん?
週末、帰るから、、。
大丈夫だから。
そーいえば、弟達、、。
どーしてる??
うん。うん。わかった、、。
じゃあ、週末に。」



ブチっと通話の切れた
スマホを片手にフウとため息をつく。
大学を卒業して、
社会人になって、2年目。
私は、2年ぶりに
実家に帰るのだ。





少女Aの見解





私には、弟がいる。
それも、一人や二人じゃない。
6人。しかも、同じ顔。
そう、俗に言う6つ子というやつである。
6つ子っていう時点で、
わけが分からないのだが、、。
そんな私は、今年で25歳を迎える、
彼らの姉だ。
弟達は、今年で22歳。
お互い良い歳である。
私と彼らは、顔も性格も
何一つ似ていない。
本当に兄弟なのかと
よく聞かれたものだ。
私は、大学4年間を自宅から通い
卒業をきっかけに
一人暮らしを始めた。
母さんと父さんにだけ、
職場と一人暮らししている場所を
教えてある。
だから、弟達は、私が
どこでなんの仕事をしているかさえ、
知らないのだ。
私の連絡先も知らない。
父さんと母さんには、
固く口止めしてある。
何故、此処まで頑なに、
弟達のことを拒むのか。
私と弟達は、仲が悪いから。
ではない。
むしろ、仲が良かった。
小さい頃からずっと一緒に育ち、
よく彼らの世話を焼いて、
彼らも私のことを姉さんと
慕ってくれていた。
側から見れば、仲睦まじい姉弟出会ったと思う。
実際、仲も良かった。
何時からだろうか。
歳を重ねるにつれ、
弟達の視線が怖くなったのは。
違和感を覚え始めたのは。
1番、始めは、
高校生の時であった。
私に、初めて彼氏が出来て、
浮かれていた私は、
弟達にその事を
ポロリと言ってしまったのだ。
言った瞬間、
その場の空気が凍って、
五男と末っ子には、
大声で泣かれ、
四男には、どこのどいつだと
問い詰められ、
三男は、無言で私を見つめ、
次男は、部屋を出て行き、
極め付けの長男は、
明らか機嫌が悪くなっているのが
伺えた。
最初は、私のことを大事に思ってくれているからと、
むしろ、嬉しく感じていたのだが、
時がたつにつれ、
気付いてしまったのだ。
弟達の私に対する執着心。依存心に、、。




そして、私は、卒業と同時に
弟達との縁を切った。
父さんと母さんは、
弟達に散々聞かれて、
大変だっただろうが、
私の為でもあるし、弟達のためでもあると理解してくれて、
秘密にしてくれている。
私は、現在、
大手企業の社長秘書として
働いている。
大手企業なだけあって、
そこそこ給料もいい。
なので、なんとか、
一人暮らしをやっていけているのだ。
いつも、苦労をかけている、
父さん、母さんに、大学卒業して、
この2年間、一回も合わずにやって来た。
今月、会社のメンテナンスで、
3日間連続で休めることになったので、
父さんと母さんのいる実家に
ちょっと帰ろうと考えたのだ。
もちろん、弟達には、
会わずに、父さんと母さんの顔を見たら、
帰るつもりである。

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