ぱろ

□人魚姫パロ レンマサ
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人魚姫のお話です。レンまさで。


 海の深い深い奥底には、人間が知らない、美しい人魚の国がある。
 そこには、これまた美しい、王子達がいた。

「まさー!」
日のあたる、数少ない海底で俺が本が本を呼んでいると、遠くから、明るい声が響いてきた。
「あぁ、一十木か。」
本を閉じて彼の方を向く。すると彼はキラキラと顔をかがやかせていた。
「あのねあのね!さっき外見てきたよ!!なんかね、キラキラしたのか、ピカピカしたのがあってそれでね、たっくさん人がいて、それでねそれでね…!」
「落ち着け一十木。そんなんでは話が伝わってこないぞ?」
そう言ってやれば、彼らはそっか〜と言いながら俺の横に座る。
「…そういえば、一ノ瀬とはどうだ?」
「ふえぇっ!?」
興味半分、意地悪半分で彼の恋人のことを尋ねると、彼は林檎のように赤くなった。
「あ、えと、うん、と、トキヤとは、なにもないよ」
「本当か?赤色顔をしているぞ?」
目線をそらし必死に訴える彼が面白くて、ついつい問い詰めてしまう。すると、ぱすっ、っと頭になにかを置かれる。それにつられるように顔を上げると、そこには今まで噂していた人物の顔があった。  
「一ノ瀬か。」
「聖川さん、人の恋愛事情を詮索するのは関心しませんよ。おとやが面白いのは分かりますが。」
「俺のどこが面白いのさぁ!」
「そういうところです。」
怒ったようにつっかかる一十木を一ノ瀬は軽くあしらう。それをみていると心温まる気がした。
「本当に二人は仲がいいな。」
「当たり前でしょう。」
そう言って彼は赤い髪へとキスをおとした。
「…俺は邪魔なようだな。外の世界でも見てくる。」
甘い雰囲気を醸し出し始めた二人に少し笑ってから、尾鰭をゆったりと動かして上を目指す。しばらく泳いでいると顔が海の上から出るのは感じた。丁度夜のようで、そこには星空と、薄い三日月が光っていた。そっと当たりを見回すと、遠くに大きな船があるのがみえた。ふと興味がわいてその船に近づくとそこではパーティーが開かれていた。その中心には、オレンジ色の髪を靡かせた王子が立っていたのだった。
「綺麗な人だ…」
美しい髪と澄んだ青い目に強く心をひかれ思わず船に触れるまでに近寄る。だが、場所が悪く、人がいないとこに来てしまっていた。諦めて海にもぐろうとしたその時
「おや、帰ってしまうのかい?」
船のへりに腰掛け、足をぶらぶらさせている王子がいた。
「!!」
「あぁ、危害は加えないから。こっちへおいで?」
そっと手を伸ばされ、ふらふらとそこに近寄っていく
「君は、人魚なの?」
「あ、あぁ」
少し声を張り上げて返事をする。すると彼はすこし顔をしかめた。
「なんだ、男?」
思わず口を塞ぐ。人間は、人魚は女性しかいないと思っているときいたのを思いだす。
「ふふ、いや、ごめんね?いいよ。気にしてないから。」
優しそうな笑みを浮かべた王子に思わず顔が赤くなる。
「ねぇ、君たちはどこにすんでいるんだい?」
「う、海の…深いとこだ…静かでいいぞ…?」
「へぇ…いいな。俺も行ってみても良いかい?」
そう言って海へ飛び込もうとする彼に俺は一瞬肝を冷やした。
「な、と、飛び降りるなよ!風邪をひいてしまう!」
バタバタと手を動かしてアピールすると、彼は面白そうに笑った
「あはは。分かった分かった。風邪はひきたくないから、飛び降りないよ。」
ほっとして思わず頬を緩める。
「ねぇ、名前は?なんて言うの?俺は、レンだよ。神宮寺レン。」
なんてことないように告げられた名前を、何度も頭の中で反芻する。何故だか、幸せな気持ちが広がっていくように思えた。
「近くに行ってもいい?君の顔をみたい。」
その言葉に頷こうとしたとき、彼の船が大きくゆれた。
「「!?」」
いつのまにか、嵐がいているようで、その風が船を揺らしたようだった。その衝撃で彼は海に放り出せれてしまった。
「れん!!」
思わず彼に駆け寄ると、彼は意識を失っているようで、いくら呼びかけても返事がない。
彼の乗っていた船はゆっくりと傾きはじめついに、横に転倒すると海の底へと沈んでいった。
なんとか彼を支えながら必死に陸地を目指す。冷たい海は、彼の体温を無情にも奪っていく。青くなっていく彼の顔を見ていられず、彼をほぼ担ぐよう
なりながら、ようやく、砂浜につき、彼をそっと寝かせる。
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