ルフィ×ロー
□突発ルロー
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「んっ、く…っ…」
ぐるぐると身体を腕で絞めつけられたローが、苦し気に顔を顰めながら声を洩らす。
重い身体を引きずるようにして歩けば、ローに巻きついたルフィがずるずると後に続いた。
「麦わら屋っ、しつこいぞ」
「やだね。こうしなきゃ、トラ男すぐにどっか行っちまう」
今日はいつもにも増してしつこい。
ローは大袈裟にため息を吐いて、甲板の隅に座り込んだ。
「どこにも行かねェって言ってんだろ」
今日だけは…。
明日のことは知らないし約束も出来ないが、今日はどこにも行かないと約束したのだから、いい加減に離して欲しいと、拘束されて動けないローが更にため息をひとつ。
「それにおれ、まだトラ男からちゃんと言ってもらってねェし」
「どう応えろってんだよ…」
ぐるぐると巻きついていたルフィの腕の拘束が解かれ、代わりに膝に重みを感じたローが、ニシシと笑う麦わら帽子を被る男を見る。
「トラ男がおれのこと好きなの解ってんだけどよ。でもちゃんと言ってくれねェから、流石にちょっと不安になる」
ぐいっと近づく顔は不安な表情どころか楽しそうで、ルフィの笑顔を間近で見たローはプイッと横を向いた。
「おれのこと、好きだって言うまで離さねェ」
それは逆の意味を取ると、好きと伝えてやれば離してくれるということなのだが、好きと伝えたらますます離してもらえそうにないとローはため息しか出ない。
「トラ男!」
横を向いても、伸ばされたルフィの顔がローを覗き込んで、更に距離を詰めてくる。
「はァ…。麦わら屋…、無理に言わせた言葉なんか、何の意味もねェだろうが…」
「じゃあ、無理に好きだって言わなくていいから、素直に好きだって言ってくれ」
「無茶苦茶だな…」
風に吹かれたルフィの前髪が、ローの鼻をくすぐる。
額が触れ合い互いの熱が伝わると、次に鼻が触れてルフィの匂いがきつくなった。
「おい。近い」
ローが告げると同時に、唇に柔らかいものが触れる。
「…クソ…ッ…」
逃げても逃げても追いかけてくるのだから、これから先どこに逃げても追いかけてくるのだろう。
いつの間にか、それがほんの少し心地いいと感じているのだから、どうしたものかとローは苦笑を浮かべた。
「麦わら屋。お前の言う通り好きだから今日はもう離せ」
噛みつく仕草を見せたキスに、ルフィはニヤリと笑った。
END