ルフィ×ロー

□突発ルロー
1ページ/1ページ

「んっ、く…っ…」

 ぐるぐると身体を腕で絞めつけられたローが、苦し気に顔を顰めながら声を洩らす。
 重い身体を引きずるようにして歩けば、ローに巻きついたルフィがずるずると後に続いた。

「麦わら屋っ、しつこいぞ」

「やだね。こうしなきゃ、トラ男すぐにどっか行っちまう」

 今日はいつもにも増してしつこい。
 ローは大袈裟にため息を吐いて、甲板の隅に座り込んだ。

「どこにも行かねェって言ってんだろ」

 今日だけは…。
 明日のことは知らないし約束も出来ないが、今日はどこにも行かないと約束したのだから、いい加減に離して欲しいと、拘束されて動けないローが更にため息をひとつ。

「それにおれ、まだトラ男からちゃんと言ってもらってねェし」

「どう応えろってんだよ…」

 ぐるぐると巻きついていたルフィの腕の拘束が解かれ、代わりに膝に重みを感じたローが、ニシシと笑う麦わら帽子を被る男を見る。

「トラ男がおれのこと好きなの解ってんだけどよ。でもちゃんと言ってくれねェから、流石にちょっと不安になる」

 ぐいっと近づく顔は不安な表情どころか楽しそうで、ルフィの笑顔を間近で見たローはプイッと横を向いた。

「おれのこと、好きだって言うまで離さねェ」

 それは逆の意味を取ると、好きと伝えてやれば離してくれるということなのだが、好きと伝えたらますます離してもらえそうにないとローはため息しか出ない。

「トラ男!」

 横を向いても、伸ばされたルフィの顔がローを覗き込んで、更に距離を詰めてくる。

「はァ…。麦わら屋…、無理に言わせた言葉なんか、何の意味もねェだろうが…」

「じゃあ、無理に好きだって言わなくていいから、素直に好きだって言ってくれ」

「無茶苦茶だな…」

 風に吹かれたルフィの前髪が、ローの鼻をくすぐる。
 額が触れ合い互いの熱が伝わると、次に鼻が触れてルフィの匂いがきつくなった。

「おい。近い」

 ローが告げると同時に、唇に柔らかいものが触れる。

「…クソ…ッ…」

 逃げても逃げても追いかけてくるのだから、これから先どこに逃げても追いかけてくるのだろう。
 いつの間にか、それがほんの少し心地いいと感じているのだから、どうしたものかとローは苦笑を浮かべた。

「麦わら屋。お前の言う通り好きだから今日はもう離せ」

 噛みつく仕草を見せたキスに、ルフィはニヤリと笑った。





END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ