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□いちまーつの冒険
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「これでいいの?首ごわごわするんだけど…。」
「なんか落ち着かねー。」
「あちぃ!」
「カラ松兄さん、それ脱いで。」
「どうしたトド松。もしかして、着てみたk「全然違うから!もう、今日は皆でおしゃれして行くって約束でしょ?早くそのクソタンクトップ脱いで。」
今日は松野家全員で遊園地へ行くことになった。お店のガラポンにて、おそ松のクジ運で見事、“ご家族全員遊園地ご招待券”を引き当てたのだ。
トド松の熱い志望により、皆おしゃれして行くことになった。
おそ松は落ち着いた雰囲気でカジュアルに。
カラ松はシンプルな洋服にワイルドさをアクセサリーで引き出している。
チョロ松はダテ眼鏡やマフラーを着けて清楚な感じに。
十四松は子供っぽさを忘れずに少しダボっとした物を。
トド松もいつもより張り切って可愛くキュートに決めている。
一松はというと。
「……ねぇこれ本当に着けるの?」
「それもおしゃれアイテムだよ?」
一松は、ネコを模したパーカーや短パンなど、なかなか着こなすのが難しいファッションである。この服装については文句はないのだが、今自分が手にしている物が解せず、固まったままだった。
「あ、これスタバァで着けてる人見たことあるわ。」
「なにコレ…首輪?」
「ちっがうし!チョーカーだよ!チョーカー!!…まあクソダサ兄さんには分かんないよねぇ…」
「おい。」
一松が今手にしているものは、チョーカーと呼ばれる、首に巻き付ける物だった。何故か前に鈴が付いており、指で擦るとチリンと小さな音が鳴った。
「何なの。もしかしてトッティの趣味?」
「そんなことないから!…まぁ、一松兄さんに着けて欲しくないって言うと…嘘だけど…。」
「マジかよトッティ…」
「寒いわトッティ…」
「一松にピッタリだと思う"ぅ"っっ!!」バタッ
「しゃべんなクソ松、殺すぞクソ松っ。」
チョロ松とおそ松が口々にトド松を否定する中、カラ松は一松に腹パンを決められていた。
「あ、一松兄さん、ちなみにそのチョーカー、猫を寄せ付ける効果があるんだって!」
「………。」
一松はその言葉で、スッとチョーカーを身に着けた。
全員のファッションチェックが終了し、親の車で遊園地へと向かった。
「一松兄さん!超楽しみだねぇ!!」
「もういい大人なのに遊園地とか、バカじゃねぇの…。」
「ついに言っちゃったか一松…まぁそうだよねぇ…ごもっともだと思うよ。」
「……そう思うならなんでチョロ松兄さんも行くのさ…。」
「えっ……!(ギクッ)イヤ別に、目的があって行くわけじゃないし!そう!たまたま!たまたまおそ松兄さんがクジで引き当てたってだけじゃん?」
「そうだよ一松ー。せっかく招待券貰ったんだ。使わねぇ訳にはいかねぇっしょ?思いっきし楽しもう!あ、一松が一人で留守番してるって言うなら話は別だけどな。」
「………いや、いいよ。行く。」
一松が一人で留守番というワードに弱い事を知っていたおそ松はニヤニヤしながら言った。
彼らの目的は、実はただ楽しむということだけではない。本来の目的を、一松を除く五人が企んでいた。
それは昨夜の話だった。
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