book
□常連さんはほっとけない
1ページ/6ページ
「一子さんって、猫がお好きなんですね。」
年下の会社員が声を掛けてきた。可愛いげはあるのかもしれないけど、私の好みにはほど遠い人。携帯のストラップがどうやら目にとまったらしい。
「えぇ、猫ってね、ソウルをいくつも持っているって聞いたことある?魅力的よねぇ…。」
「は、はぁ…。」
苦笑いをする年下会社員。ふふ、ソウルについて話すのはあなたにはまだ早かったかしら?
早めに仕事を終えることができた日は、いつも迷わず向かうお店がある。そう、それこそが…
ネコカフェ。
たくさんの猫たちが日頃の疲れを癒してくれるの。一番の魂のソウルメイトと言っても過言ではないわ。あら、あの五人とはまた別よ?人間と猫では全く違うもの。
「いらっしゃいませー。」
チリリンッ、と猫の首輪によくついている鈴のような音が、いつもお客の来店を知らせてくれる。入ると、中は独特の猫の匂いが充満していた。
「一名様ですね。どうぞ、お好きな席へお座り下さい。」
このネコカフェのいいところは、好きな猫の側に自由に座れる所ね。スペースは限られているけれど、やっぱり人によって好きな猫って変わるじゃない?
私はいつもの部屋の隅にあるソファーに腰かける。すると猫がすぐに近寄ってきた。撫でてと言っているかのように私を見上げてくる。優しく頭を撫でてあげると、自分から手に頭をスリスリしてきた。
(あぁ、癒されるわ…!)
そう思っていた矢先、奴が来店してきた…。
→