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□色松事変
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人通りの多い道にあるデカパン研究所。そこにふたつの影が現れた。
「たのもー!たーーのもーー!」
「はいダス、あっ、君たちダスか。」
「こんにちは、デカパン博士。」
「………ちわ」
「はい、こんにちはダス。」
「相談!そーだんがあるんだけど。」
「今度は何ダスか?」
「あのね、一松兄さんを猫にして欲しいんだ!」
「猫?」
デカパン博士は二人を中に入れ、飲み物を渡した。十四松の相談はこれまで何度も聞いてきたデカパンだったが、今回の相談は少し引っ掛かるところがあった。
「既になれるんじゃないんダスか?」
「そうなんだけど、違うんだよ。ね、一松兄さん。」
「あ?あぁ……うん。何て言うか…サイズが合わない。」
一松が語るには、猫と一緒に行動するとき、自分が猫化しても大きすぎて、塀を渡っては人に不審がられ、狭い路地に入ることができないなどという不満があったのだった。
「なるほど、それならいい薬があるダス。」
ゴソゴソとでかいパンツの中を探るデカパン博士。一松はまた悪夢が脳裏によみがえった。
「ま、まさかまたケツ!?」
「大丈夫ダス、君のために錠剤も用意したダス。」
ほっ、と胸をなで下ろす一松。
「あった、これダス!『入れ替わる薬』!」
「いれまくる薬?」
「アブない表現やめるダス。この薬はなんと中身を入れ替えることができてしまう薬ダス。入れ替わりたい人と同じ数ずつ飲めば入れ替わることができるダスよ。」
「なるほどー、それを猫と一松兄さんに飲ませればいいんだね!!」
「その通りダス。さ、気をつけて使うダスよ?」
「ありがとうデカパン博士!」
そうして相談は無事解決され、早速家に持ち帰って使ってみることにした。