短編
□まるで万華鏡のようでして
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ひとつのビーズが転がれば、また形は別の美を映し出す。
手をくるくると回して、その景色を眺めていた。
狭い視界が輝き、色付く。
貴方は色眼鏡だと笑うけれど、そんな事ない。
私は万華鏡の様だと胸を張れる。
確かに恋は綺麗な部分だけしか見ない。綺麗に見えない片目は瞑る。
動いたら、また別のものが見える。
恋なんて汚いだけだと溜息をつく貴方。
違うわ、と答える私。
汚い恋は、恋ではない。相手を一途に想う事が恋であって、お金目当ての恋愛は恋じゃない。
それを言うと、貴方は「じゃあ愛は汚いのか?」
「汚いわよ」そう答えた私。
恋は1人でもできる。でも恋愛は2人。相手を縛り付ける。愛して欲しいと我儘を言う。それのどこが美しいの?
でもね、そんな汚い愛も素敵よ。