あるある

□トリップしたら真っ白い空間にいる時ってあるよね
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真っ白い空間。
比喩でも妄想でも何でもない。本当に真っ白い空間が目の前に広がっていた。目線を下げて足元を見れば、影の無い私の足が見えた。
ーー何なんだ?
疑問と恐怖のみが頭を占める。尻餅をつき、左右を何度も確認するも、何も無い。歯科院の白よりも明るい、白色光の様な眩しい白。日常で一部にそんな色があれば、綺麗とかそんな事を言っていただろうが、時と場所がいかれている。バランス感覚はなかなか良かったと思っているが、そんな事はお構い無しとでも言うように頭がグラグラ揺れ、手の力が緩まり仰向けの状態になった。何処が下なのか上なのか左か右か。それすらも分からず、焦り、恐くなる。目を必死で瞑って暗くしようと試みたら、赤い色が視界を埋め尽くす。手を出来る限り握り、現実に引き戻させる。足を地団駄を踏むように床に叩きつけ、床がある事を自分自身に確認させる。しかし、その叩きつける音ですら何も聞こえない。
嫌だ、速く、ここから出せ、誰か、おい、返事をしてくれ、お願いだ、
涙混じりで大声でそう叫んでも、やはり自分の耳に届かない。それを脳が整理した時には、無意識に叫んでいた。

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