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「……あれ? おかしいなぁ? さっき死んだよね、私?」
パチリと目を覚ますと、ついさきほどまで見ていた病室の天井ではなく、どこか懐かしさを覚える見覚えのある天井に、部屋。
「…………学生時代の私の部屋、だよね? この部屋」
さて、これは夢なのだろうか? と思い、とりあえず頬をつねってみたものの、ものすごく痛かったので夢でないことは確かなのだが。
もしくは先ほどまでの記憶が夢だったのかというところか……しかし、こんなにハッキリとした記憶が残る夢などあるのかな?
「んー、でもまあ、こんな状態なのにパニックにならない分あの頃に比べれば成長したのかも?」
予期せぬ事態にありながら、こんな独り言を言う余裕が持てるとは学生時代に培ったものは無駄ではないようだ──なぜか今その学生時代のようだが。
「とりあえず、過去に戻ったってことで良いのかな? えーっと? あ、今日は……ずいぶん前に戻ったんだなぁ」
カレンダーの西暦は中等部に入学した年の4月を示しており、さすがに日にちは確認できなかったが真新しい制服と教科書やノートには未だに何も書き加えられていないことから、入学する前もしくは直後なのだろう。
新聞でも見ればわかるかな? とりあえず、現状を確認してからどうするか考えよう、そうしよう、うん。