Main(長編/不器用な彼女シリーズ)
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そんな日々が2ヶ月近く続いていた。
そんな平穏な日々にも、多少の変化がやってきた。
季節は11月になっていた。
外でごはんを食べるには、つらい季節になってきた。
制服一枚では外に出るのが辛くなってきた。
一松は、平然と、ジャケットの下に紫のパーカーを着込んできたが、
女子は、校内ではコートを着るのは不自然だし、
私は、仕方なく冬服のセーラーのまま昇降口で
一松とごはんを食べていた。
最近は猫はいない、きっと寒くなってきたので、
用務員室で、ぬくぬくしてるんだろう。
意外だったのは一松だ。
猫がいない季節はこの場所には来ないと思っていたが、
平然と毎日来ていた。
いつもの通り、いつもの場所でご飯食べていると、冷たい風が吹いて、
思わず、クシュンと小さいクシャミをして
「うー、寒い」とつぶやいてしまった。
一松は、何も聞こえなかったかのように、無表情に立ち上がると、
私の上にバサっとパーカーを頭からかぶせてきた。
「えっ・・。いいよ、一松君が寒いでしょ??」と慌てて脱ごうとした。
「・・・いいよ、風邪引かれたら、こっちが罪悪感で迷惑だし、、ああ、こんなクズの洋服着たくないんなら仕方ないけど、自己責任だから・・」とぶつぶつまた言い出す。
私はこういう感じにも、だいぶなれてきて、
「ありがとう」というと、そでを通した。
だいぶブカブカで、袖なんかは、十四松君のように手首が出ない。
パーカの首に口元までうずめるようにして、
「ふふっ、あったかい」と言った。
なぜか私を見ながら、一松は真っ赤になって、
「くん、はいらないから」と言った。
「えっ?」と聞き返すと、
「一松。でいい、くんは付けないで違和感だから」と言った。
と言って、そそくさと校舎の方に歩き始めて、
「図書準備室」とボソっと言った。
明日から、図書準備室、誰もいないから。
と言って去っていった。
明日から、そこで、ご飯を食べようと誘っているんだろうか??
かなり不器用すぎる誘いに、笑みがこぼれてしまう。
大きいパーカーに包まれながら、
今までと、安らぎだけではない感情が芽生えてkるのも
時間の問題かもしれないと、思い始めていた。
それより、彼が置いてった、このパーカーをどうやってクラスメイトにばれずに教室まで持ち帰れば良いのか
頭を悩まし始めていた・・・。