Main(長編/不器用な彼女シリーズ)

□チョロ松とバレンタイン
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僕は一瞬フリーズして理解した後に

「ありがとうね、ごめんねわざわざ義理チョコなんて気を使わせちゃって・・・」

と僕は嬉しいながらも、弟の彼女にまで同情されるなんて・・・
と惨めなそしてちょっと腹立たしい気持ちにもなった。


「うーん、義理って言うのとはちょっと違うかな?」
と、莉乃ちゃんはちょっと考えている。

「え?」と僕は続きを待つと

「一年間一緒に委員会頑張ってくれて、本当に感謝してる。

それに私がいろいろ問題起こしたときも、起こす前と起こした後に、
態度が変わらないで接してくれたのって、
チョロ松君だけだったんだよ。

それがすごく嬉しくて。

たくさんのきっかけもくれて、
私が変われたのは、チョロ松くんのおかげもあると思ってる。
もちろん、一松と付き合えたのも。

だから、義理じゃなくて、あ、でも本命とかでもなくて、

感謝の本心のチョコっていうのかな?

チョロ松くん一年間ありがとう」

とちょっと照れながら笑っている。

「でもゴメン、迷惑だったら持って帰るから無理しないで ・・・」
莉乃がてを引っ込めようとしたところで

僕は必至に
「いや、貰う!欲しい!ください!」と必至に受け取る。

「ありがとう」と、莉乃ちゃんはあははと笑って渡してくれる。


こちらこそ、ありがとう。と思う。

僕なんて何も無いと思ってた。
他の兄弟に比べて、自分を出せるわけでも、
伸び伸び楽しむわけでも、
夢中になれるものを見つけるわけでもなかった
僕。

僕は、くすんで暗くて、他のきょうだいの光を見ているだけだと思っていた。


でも大丈夫だ。

僕は僕でちゃんと引力を放っている。
ちゃんと人を支えたり光や影も与えることが出来ている。

僕を認めてくれてありがとう。


チョコレートは兄弟に見つからないように
こっそり独りで食べようと誓う。

恋じゃなくても愛じゃなくても

それよりもっと大切なチョコレートを貰った気がした。




おわり。
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