短篇

□10年後。
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高校の卒業式に、
隣の席の、松野一松に、
「元気でね〜、またクラスで集まろうね〜」と社交辞令的に挨拶をしたら、

低い声で、
「明日も会おう」と言われて、

なぜかそのまま、高校卒業しても逢瀬を重ね、付き合うことになっていた。



それから、10年の月日が経とうとしている。




今日は、有給をとり、用事を済ませて
逸る気持ちを抑えながらも、走らずに、少し速度を速めて家路を歩いている。

私は、高校卒業後、大学に進学して会社員となった。

彼氏となった一松は、卒業後は予想通りといってはアレだが、そのままニートなり、
彼の5人の兄弟と気ままな日々を過ごしていた。

それがいきなり覆ったのが
二年前になる。

一松が、近所の古民家を買って、そこに住み
書道教室を始めた。

家でぼおっと猫と戯れているイメージしかない
一松だったが、彼なりに考えた事なのだろう。

そして、プロポーズもあったかないのか覚えてないくらいに、自然に私も、入籍して
一緒に住み始めた。

そう、今日は、結婚2年目である。



そして、他の5人の兄弟は、何をしてるかと言う。
末っ子のトド松君が、私たちの新居に遊びに来たときに、
なぜだか、あちこちに目を光らせたかと思うと、
あっと言う間に、一階部分を、古民家カフェに改装し、
瞬く間にに繁盛させた。

一松は、心底迷惑そうな顔ををしていたが、
月々の支払いを考えると、
トド松くんからの家賃はありがたかった。

そして、明るい十四松くんも、トド松くんのカフェで働いていた。明るくて可愛い人柄は
お客さんの人気のようだった。

いちばん、安定だの就職だの騒いでいた
三男のチョロ松君はなぜだか一番不安定な
芸能関係のフリーライターとなり
自由に駆け回っている。
最近は著書のアイドルの考察本が、売れに売れているらしいので、
彼には向いていたんだろう。

一松が、嫌いながらも、頼りにしていそうな
次男のカラ松くんは、その独特の雰囲気と
非日常の考えを生かしたのか、
有名ホテルでバーテンダーをやっている。
夜な夜な、女性にくさいセリフを言っているようだが、
相手がほぼ外国人なので、言葉通じないので
問題にはなってないようである。


そして、長男のおそ松君は、
絶対どこにも就職しようにないと思っていたが、
ビックなカリスマレジェンドが待っている!
と宣言し、
普通の会社に就職したかと思うと、

本当に、ナンバーワンの営業成績を収めているようだった。

もともと、リーダーシップ体質で、機転が利くから、彼には合っていたのだろう。
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