短篇

□過渡期の僕ら。
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買い物を終えて、最近出来た、テラスの可愛いカフェに入って一息つくと、
テラス席の一番端に見知った顔を見つけた。

オシャレなカフェには似つかわしくない
分厚いテキストとノートでなにか必至に勉強しているのは、

僕ら六つ子の、一番の問題児四男の高校時代から付き合っている彼女の
咲乃ちゃんだった。

せっかくなので話しかけようと思ったけど、
勉強に集中しいているようなので、遠慮しようかなと思っていると、

20代後半くらいの、いかにも仕事が出来るって感じのビジネスマンが、咲乃ちゃんに話しかけはじめた。、
最初は、知り合いか、待ち合わせ(浮気の現場か?)とスマホのカメラを構えたが、
どうやらナンパのようだ。

咲乃ちゃんは、必至に断っているようだが、とうとう、そのビジネスマンが咲乃ちゃんの隣の席に腰掛けようとしたときに、
助け舟を出すことにした。

「おまたせ、咲乃ちゃん」といつのも10倍くらい愛嬌のよい顔で二人の間に割り込む。

ナンパしてた、ビジネスマンが、
なんだお前はと切り出す前に、咲乃ちゃんがホッとした顔で、

「トド松君、どうして此処に・・じゃなくて、遅いよ〜早く〜」
と上手く話を合わせてくれた。

男は、退散と言う様に、すごすごと去って言った。
そのまま、咲乃ちゃんは机の上を片付けてくれて、さっと僕の席を用意してくれる。

「一松兄さんと待ち合わせ?」と聞くと
咲乃ちゃんは首を振って、
「違うよ、ひとりでちょっと勉強してただけ、
あ、でも、夜は一松と待ち合わせて、ちょっと飲みに行く予定だけど」
と、一松兄さんともう何年も付き合ってるくせに、ちょっと顔を赤くして答えている。

本当に、可愛くて気が利いて、彼女の一番の欠点は、彼氏があの猫松ということだけだなと
僕は思う。


「トド松君、さっきはありがとう、買い物の帰り?」と明るく聞いてくる。
「うん、最近出来た○○駅のショッピングモールに行って来たんだ」
と最近流行の場所を言うと、

「えっ、いいな、私も行きたいんだよね!どうだった?」
などなど、流行の場所や洋服などを話題で
話が弾む。

あぁ、楽しいな、可愛いなと本当に思う。
僕も、兄の彼女といえど、可愛いカフェで、女の子とお茶できたことに、少なからずテンションが上がる。

「そういえば、さっきはなに勉強してたの?」
と聞くと、
来週にまた仕事関係の資格試験を受けるのだという、

僕らニートの六つ子と違って、
咲乃ちゃんは、高校卒業後は法科の大学に進み、
今は、法律事務所で働きながら、資格を取って将来は、法律関係の相談員になりたいらしい。
もしくは、本気で弁護士とかを目指しているのかもしれない・・・。
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