短篇

□頑張ってくじけないで負けないで(24話妄想夢です)
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もう0時過ぎ、私はコーヒー飲みながら、たいして面白くない深夜番組をうつうつと見ていた。

ふと、静かな深夜の中、玄関の外でガサガサ人の気配がする。
部屋の外で気配が感じられ、そして足音が遠ざかろうとしているので

私は慌てて玄関のドアを空ける。

「一松っ!」
私は深夜には似つかわしくない大声で
足音の主を引き止める。

一松は、ビックリした顔で、振り返ってや立ち止まる。

私は追いかけて、一松の大きな荷物をグイっと
引っ張る。

「とにかく入って・・・。待ってたから。」


いつもなら寛ぐ、狭い私のワンルームで
二人で狭いダイニングテーブルを囲んで座る。


一松は、ぼそぼそと
「家でたから、なんとか自分でするから今日だけ泊めて」
と言う。


「ムリだと思う」私はハッキリ言う。
「住所もお金も経験も無くて、すぐに家と仕事を決めるのはムリだと思う。」
私は一松が傷つくのをわかってはっきりと言う。

一松はうつむいて手をこれでもないくらいこぶしが震えてる。

「三ヶ月」私が言うと、一松が顔を上げる。

「三ヶ月いても良いから、その間に、やりたいこと決めて、仕事決めて。
二人で・・・がんばろう」

「うん」一松は私を見て返事をしてくれて
私はホっとする。

付き合ってからだいぶ長いけど、
こんな風に頼ってきたり、将来の事を話すのは初めてだった。

でも私は、嬉しいよりも、悲しみが大きかった。





一週間前、一松のお兄さんにチョロ松さんがうちに来た。

チョロ松さんは就職が決まって家を出るといった。

そのまま、兄弟たちは仲良く実家で暮らして欲しいけど、
バラバラに家を出ることがあるかもしれない。
そのときは、一松をお願いします。

ココにおいてやって、一松の道を探すのを手伝ってやってくださいと
チョロ松さんは私に土下座をして
あいつの準備金だからと、三か月分の一松の生活費を置いていって

三ヶ月経って、二人の将来が見えなかったら
追い出してください。引取りに来ますと
チョロ松さんは笑っていたけど、
きっと一松を信じている目をしていた。

ここに来たことは言わないでと言い残してチョロ松さんは帰っていった。
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