Main(長編/不器用な彼女シリーズ)
□弟の彼女(不器用な彼女(4)
1ページ/4ページ
高校二年になり、正直、莉乃ちゃんと、一緒のクラスになれたのはラッキーだとガッツポーズをした。
一年の時から可愛くては真面目で人当たりいい彼女のことは気になっていたからだ。
僕は、六つ子で、何の因果か、全員同じ高校に進学したので、
高校の学年は4クラスなので、必然的に兄弟の1人くらいは同じクラスになってしまう。
今学年は、僕と僕のすぐ下の弟、一松が同じクラスになった。
新学期早々、新しいクラスメイトや委員や浮き足立っているクラスの中でも、
一松は、今年もクラスにも馴染むつもりはないらしく、気配を消して関係ないような顔をしている。
産まれたときからのつき合いなので、ここでうるさく助言すると
ふいと学校にすら来なくなる可能性があるので、
僕はため息をつきながらも見守るしかないと、悩みを持つんだろうなとため息をついた。
それでも、僕はちゃっかりと、
気になる莉乃ちゃんと同じ委員になり、末弟のあざとさを笑えないなと苦笑した。
委員では毎月締め切りの集計があり、
それがかなりの量なので、
まとめていつも近くの区立図書館でやるのが恒例になっていた。
ひとりが読み上げてひとりが書き込むと言う単純な作業だが、
学校の図書館は私語厳禁なので、区立図書館の談話室がいつも都合が良いのだ。
委員の仕事と理由はあっても、やはり気になる可愛い女の子と、
学校から離れて一緒に歩き、図書館で二人で作業するのは心躍ることでもあった。
まあ、そんな事は、うちの長兄や末弟に知れたら、馬鹿にされるような事だろうけど
今月もいつものように、
「莉乃ちゃん、放課後時間あるかな?」と恒例の声かけをすると、
いつもの彼女の笑顔ではなく、ひどく驚いた顔をして、僕を見た。
そして安心したように、
「あ、うん、集計明日まだだよね、また区立図書館で仕上げちゃおうか」と
いつものように承諾してくれた。
なぜかいつもと違う彼女の態度が気になった。
他の兄弟と間違えたのかな?
でもあんなに動揺させるような兄弟に心当たりは見あたらなかった。
。