Main(長編/不器用な彼女シリーズ)
□Episode 12月24日
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数日前に、松野一松と気持ちを確かめ合い、
正式にお付き合いを始めた私たちであったが、
まずは、甘いデートよりも、
私には、3週間停学中の勉強の補習と、追加の期末テストと現実的な問題に追われていて、
冬休みもクリスマスも、すべて無いに等しかった。
一松は一松で、大家族なだけあって、家族で・・というか5人兄弟でクリスマスやプレゼント交換などはやるらしくて、バタバタするらしいので、
付き合い始めたカップルとは思えないほど、
サッパリとした日々を過ごしていた。
クリスマスイブも、昼間に一松から電話があってちょっとおしゃべりをして。
そのあとは、ラインでメリークリスマスのスタンプを送りあって
それだけでも、胸が温かくなるような気がして、自分でもちょっと照れていた。
街は、これでもかと言うほど、彩られて浮かれている。
すれ違う家族連れに、いままでだったら、
鈍い痛みを覚えていたが、今年は穏やかに過ごせそうだなと思っている。
クリスマスと言うのに午前中は、停学中の遅れを取り戻すため、
学校の補習に参加して、
そのまま、午後は図書館で勉強をして家に帰ったときは、
もうすっかり日は落ちていた。
簡単な夕飯を用意して、テレビを見ながら食べて、
そろそろ、寝る支度をしようかと思っていたときに、
スマホからの着信があった。
一瞬、一松かな?と思い画面を見たら、
松野トド松と画面表示されていた。
「もしもし」と、とると、
トド松のスマホをおそ松が使っているのだろう。
高校生なのに、酔っ払っているのか?というテンションで
「こんばんは〜、松野家に生まれし長男、松野おそ松!ってこれは、カラ松の真似ね!!ねえ、ちょっと莉乃ちゃん、家の前まで出てきてよ!」
と一方的に言われ、
そっと窓から、家の前の公園を見ると、
なにやら、カラフルな人影がわらわらと見えた。
部屋着のフリースワンピの上に、そのままコートを羽織り、
そのまま向かった。