Main(長編/不器用な彼女シリーズ)

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「らぶほ」と、いきなり彼氏は言った。








再来週から、高校3年生の夏休み。

今は、期末試験の真っ最中である。
明日の準備の話をしながら、いつのもように二人での帰り道。



彼氏の一松とは、高校2年の冬から付き合い始めて、もう半年ちょっとである。
最近、深いキスや、スキンシップが増えてきたものの、
その・・最後までは体は繋がっていない。

そろそろかなと思いつつも、
新学期や、進路問題、そして中間テスト、期末テストと、高校生らしい忙しい日々を過ごしていた。


私は、家庭の事情で一人暮らしをしているが、
一松なりに、ケジメを付けているのか、高校卒業まではアパートの部屋に入る気は無いらしい。
デートはいつも、高校生らしく散歩や、公園や、松野家にお邪魔していたりしていた。


そんな中、試験がそろそろ終盤が見えてきて、
「ねえ、夏休みはいったら、来週はお出掛けしようよ!」
いつもの様に帰り道に何気なく言ったら

一松は、いつもの低い声で
「らぶほ」と聞き取れるか聞き取れないかの声でいう。

私は、一瞬、頭の中で変換ができず
「らぶほ?」と聞き返す。

一松は、きっと勇気を持って言ったのだろうに
私の間抜けな聞き返しに呆れたようで、
「べつにいい」と言って早足で歩き出す。

私はやっと頭の中で理解が追いつき、
言葉の意味に、カァと顔が赤くなる。

一松も、耳まで真っ赤にしながら
早足で私を置いて歩いていく。

私は、走って追いついて一松の手を取って
歩みを止める。
そして、私も、目をそらして言う。

「あ、赤点が無かったら・・いいよ」
と、つぶやく。私も一松の成績はそこそこ優秀なので、赤点などとることは無いのだが。

そのまま一松は私の手をぎゅうと握る。
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