Main(長編/不器用な彼女シリーズ)

□夏休みのお泊り!
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がらがらと引き戸を引き、
遠慮がちに、お邪魔しますと言う。


「おう、入りなよ莉乃ちゃん」
「フッ、我が家に咲く一輪の花、入っておいで」
「莉乃ちゃん、荷物持つよ。こっちに置くね」
「あぁ。」
「わーーい!花火花火しょう!!」
「十四松兄さん、気が早いよ、それは夜でしょ!」

と各々個性的な言葉で出迎えてくれる。

夏休みの一日である。



_____________________


この、暑い夏の最中、
住んでいるアパートが改修工事で、

一日半、水道と電気が止まることになった。
エアコンも使えないし、お風呂にも入れない・・。
どうしよう、ビジネスホテルでも泊まろうかどうか、でも女子高生一人で泊まれるかどうか
悩んでいたら、

一松のご両親が町内会の旅行に行ってるから
ということもあり、
兄弟全員が招待してくれて、

彼氏の家とも言えども、男6人の家は?と
悩んだけど、他に選択肢もなく
一日泊まらせてもらうことに、甘えることにした。



一松とは、試験休みに、二人きりになれる場所に行ってきたばかりで、
会うのもそれ以来なので、
なんとも気恥ずかしくなってしまう。

「ねえねえ、夕飯何にする?莉乃ちゃんの得意料理って何??」
とトド松くんが可愛く聞いてくる。

その質問に
「お刺身・・・とか、ゴメン料理は・・・」とうつむくと、

6人が慌てて
「なんか・・・すいませんでした」と
6人同時に謝ってくれる。
「あ、カラ松兄さんと一松兄さんが作るから大丈夫だよ!、ね、気にしないで!」

とトド松くんが明るくフォローしてくれる。

「え?一松料理できるの?」とビックリして聞くと。

「まあ、一応、四男だし」と不思議な答えが返ってくる。


夕飯は、カラ松さんと、一松さんの作った
コロッケとサラダと大量の鶏のから揚げだった。
「すごい!すごい美味しい!」と褒めると、

二人とも、嬉しそうに笑ってた。
何だ、なんだかんだいいながら、一松とカラ松さん仲良いんだなと微笑ましくなる。


せめて片付けは手伝おうと思っていたのに、
危なっかしい手つきを見るに見かねて、
変わるよと、チョロ松さんとトド松くんが
代わってくれた。情けない・・・。

おそ松さんが面白そうに、
「学校ではあんなに優秀なのに、なんでそんなに家事できねーの?一人暮らしだろ?」
と無遠慮に笑ってくる。

「だって、一人だと、食器はワンプレートしか使わないし・・料理も朝はパン焼いて、夜は魚とか電子レンジで焼くだけだし・・」
もそもそ言うと

「ふーん、じゃあ、将来は料理できるダンナ貰わないとね〜」とおろ松さんがからかってくる。

「そのうちちゃんと出来るようになるから、大丈夫です〜!」と私も笑って言い返す。

一松が、すっと横に来て
「風呂行くから、準備して」とボソっと言う。

私は、
「風呂!いくって?銭湯!わーい、私銭湯ってはじめて。嬉しいな」

というと、6人全員に笑われた。
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