Main(長編/不器用な彼女シリーズ)

□卒業(前編)
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「卒業だねえ」
「だなあ〜」
「卒業しちゃったね〜」

感傷ともなんとも無い会話をしているのは
3年で同じクラスだった、
私とチョロ松くんとおそ松だった。


「莉乃ちゃんは大学合格おめでとう」

「ありがとう、一松から聞いたの?」

「うん、第一希望のとこ合格したって聞いたよ」

「えへへ、ちょっと本気出したからね」

チョロ松君と会話をしていると、

「大学生になんのか〜あぶねーな〜、あれだよ、コンパとか合コンとか新歓とかで
女子大生なんてすぐに食われるぞ〜」

おそ松がちゃちゃを入れてくる。

「バカおそ松、どんなイメージ持ってるのよ。
ちゃんと勉強しますよ。」

「ふーん、で、立派な女子大生になった莉乃は、これからどうするの?」

「どうするって何が?」

「一松と別れるの?」

無遠慮な質問にぎょっとする。
高校卒業と、一松との付き合いを一緒に考えたことなどなかった。

一松は、兄たちに何か言っていたのだろうか

「えっ・・・・、別れるつもりなんて無いけど・・・
い、一松は何か言っていたの?」

平然と言ったつもりでも、語尾が震えてくる。

「ちょっと!おそ松兄さん、からかいすぎだよ。大丈夫だよ莉乃ちゃん、一松は何も言ってないから」

「そ、そうなんだ」
ホッとしながらも、そうなんだ、今日は卒業式、
もう同級生でもなんでも無くなる。

用事が無くても、毎日廊下であったり昼休みを一緒に過ごすことは無くなるのだ。
当たり前だけど、それを実感したら

高校生活が終わることも、クラスがバラバラになることも数少ない友人とも別れることも
悲しくは無かったのに、

一松と過ごす高校生活終わったんだと思うと
涙が出てきた。


「う〜、寂しいよう。」

「うわ、コイツ卒業式でもなんでも泣かなかったのに、一松の話したら泣きだしたよ、バカップルかよ!」

「おそ松兄さん、なに莉乃ちゃん泣かせてるの、一松に殺されるよ!

莉乃ちゃん、大丈夫だから一松とはずっと付き合えばいいよ、あ、でも莉乃ちゃんが飽きたら捨てれば良いけど」

チョロ松くんは優しいことを言ってるようで
意外と厳しいことを言っているのでは?と
心の中で思ったときに

教室のドアがガラガラと空いて、
「何やってるの?おそ松兄さん莉乃のこと泣かせてるの?」
怒り全開モードで一松が聞いてくる。

「違うよ、一松、、ただ卒業が寂しいなって3人で話してただけでな、な!おそ松兄さん莉乃ちゃん」
慌ててチョロ松くんがフォローを入れても

「チョロ松兄さん、莉乃が飽きたら捨てれば良いって聞こえたんだけど・・・・」

「「ご、ごめんなさい」」

そこは素直に謝る兄二人に、面白くなって涙は止まって少し笑う。
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