短篇
□しゃっくりの止め方(チョロ松編)
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・・・・・ひゃっく
・・・・・ひゃっく
・・・・・ひゃっく
「咲乃うるさいよ」
心底迷惑そうにチョロ松に注意をされる
チョロ松は、六つ子の中でも女の子に対してはポンコツで地下アイドルや、幼馴染のトト子にめっきりデレデレして優しいくせに、
同じ小学校時代からの幼馴染の私に対しては
ちっとも女の子扱いしてくれない、
兄弟と同じか男友達のような態度をいつもされる。
それが気楽でもある。
まあ仕事の休みに、週に一度おそ松の買うビックコミックを読みに松野家にお邪魔しているので、そう意識されなくても当たり前なのだ。
今日も、特に連絡せずに、ふらっと六つ子の部屋でマンガを借りて読んでいる。
今日は5人は出かけていて、部屋には私と
三男のチョロ松だけがいた。
「ゴメン、一度始まるとヒャック、なかなか止らないんだよね、ヒャック」
「ん〜ムリにしゃべらなくて良いよ、水持ってこようか?」
うるさいと一括する割にはわりとチョロ松はいつも甘やかしてくれる。
「さっきからペットボトルヒャック、飲んでるけどダメ、ヒャック」
「ふーん」そういってチョロ松はさほど興味が無いように
読んでる本にそのまま目を落とす
私もはやく続きを読んで帰ろうとビックコミックの続きを読む
小さい頃から六つ子と仲良くしている私を見ると女友達は好奇心なのかなんなのか
ねえねえ、六つ子の中に好きな人とか出来ないの?
区別つくの?
この人ととは気が合ってこの人苦手とか六つ子の中でもあるの??
中高生の頃は、こんな質問を日常のように投げかけられていた
でも私の答えはいつも変わらずに、
六人とも良い友達として好きだし、ひいきもランキングも無いよ。とハッキリ答えてきた。
おそ松は自分勝手だけど頼りになるし、
カラ松は、言葉のチョイスがいつもおかしいけど優しくて面白い
チョロ松と一松は本もよく読むし映画もたくさん見てるから話も合うし、悪態ついてくるし喧嘩もするけど、やっぱり二人とも良い友人だ
十四松はいつも天使のように懐いてくれるし
トド松はまるで女の子同士のようにいろいろ流行について教えてくれる。
うん、やっぱり六人とも頼りになる良い幼馴染で恵まれてるなとほのぼのする。
恋愛に発展するようなこともないし気楽だ関係だ。
・・・・・ヒャック
・・・・・ヒャック
・・・・・ヒャック
「あ〜!咲乃うるさい!気になるよしゃっくり!」
我慢できなくなったのか、チョロ松が怒って立ち上がる。
さすが六つ子の中でも、潔癖神経質男だ。
「う〜、ゴメンチョロ松、読み終わったら帰るから今週号読んじゃわないとおそ松に雑誌捨てられちゃうからさ〜」
ハッとしたのか
「咲乃ごめんごめん言い過ぎた」
そういって、私の傍まで歩いてくる
ソファに寄りかかって座っている私の後ろ側に座ると、
私の背中をグイと方向を変えて
後ろからチョロ松が腕を伸ばしてきて
背中から抱きしめられる。
「ちょちょちょちょちょっと待って、チョロ松?」