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□(後編)
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俺は、町を走り回り、彼女を探した。

住所は知らなかったが、
初めて会った、商店街を抜けて、
住宅街、スーパー、路地裏、駅前まで探したが、
どこにも見つからなかった。

家の場所は大体聞いていたが、
詳しい住所やアパート名を聞いてなかったことに後悔をした。

彼女が家に来たのは昼前だったのに、
もう、日が翳り始めている。

一度出直そうかと思っていると、
見知ったオレンジ色が目の前を横切る。

エスパーニャンコだった。
そっと、腕に抱き寄せ、
「なあ、あいつ、どこ言ったんだ?」と
ニャンコにむかってつぶやくと、

薬は切れたかどうかわからないが、
普通のネコのように、ニャア〜となくと
ゆっくりと走り出して、こっちを何度も
振り向く。
ついてこいと言われている様で
走ってついていく。

ニャンコが走っいった先には。

彼女が夕暮れの公園のなかに一人いた。
ニャアと泣いて、エスパーニャンコが彼女に抱かれる。

そして、俺に気がつき、ゆっくり顔を上げる。

「いち・・まつ君」と彼女は俺を呼ぶ。

俺はゆっくり近づく。
彼女の顔には、もう、やけどのアトはわからなかった。

俺は、何も言わず彼女の顎に手を添えて上を向かせて
「すごい、綺麗」と思わず、つぶやく、

彼女は、すごくビックリした顔の後に、
気がついたようで、

「あ・・思い出したんだ。」と言う。

そして、アザのあった頬に手を置いて、
「完全に消えてはいないんだけど、大人になって目立たなくなってきて、あとは化粧とかで
なんとかね」とにっこり笑う。

俺は、
「なんで笑うんだよ!俺はさっきあんなにひどい事言ったのに、
こんなクズの事許すような事言うなよ!」

と思わず声を荒げたが、止めようと思っても
止らなかった。

「小学校の頃も、今も、なんにもしてやれないのに、傷つけただけなのに・・・・」
とそこまで俺は一気に言って、

もうめちゃくちゃで何が言いたいがわからないが、
ようやく、
「ゴメン・・・。さっきは酷いこと言って、小学校のときも、俺たち何もしてやれなくて」

「最低だな、俺」

そこまで言うと、彼女が立ちあがり、
俺の目の前に、エスパーニャンコを掲げて、
エスパーニャンコの声色を真似した裏声で

「私も無神経だった。ごめんなさい」と言う。
ニャンコは、もうしゃべれるのかしゃべれないのかわからないが
普通にニャアニャアないている。

そこまで話して、
俺たちは、やっとお互い顔を合わせて笑顔を見せた。

並んで、ベンチに座って、彼女がゆっくり話し出す。

「一松くん、さっきは小学校の時に、何もしてやれなかったって言うけど、
一度助けてくれたんだよ。覚えてる?」と
聞いてくる、

俺は首を横に振る。そんなことは何も覚えていない。

「いろいろ言われて・・・校舎の裏で泣いてたら、十四松君が先に泣いてて・・・
そしたら上級生たちが集団できてからかってきて、

十四松くんが怒って殴りかかったら、反対にやられちゃって。そしたら一松君がきて。
俺の弟に何するんだ!って怒って
上級生全員ボコボコに倒して、
十四松君をかかえて、そして私の手を掴んで
逃げてくれたの」
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