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□ハンサムな彼女。
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「あ〜、久しぶりに面倒なことになったな」
と僕はため息をつく、




新しく買った服を着て、
女の子の友達と遊びに行った帰り、
路地裏に入っていく、兄の可愛がっている猫を見かけたので、
一松兄さんがいるのかな、いたらなにか奢ってもらおうと路地裏に入り込んだら、

こんなときだけ、いつも路地裏に入り浸っている兄の姿がなく、

ガタイのいいいかにもヤンキーにもチンピラにも成り切れていないようなやつらが二人。

「お前、この前の奴だな?どうも弟分が世話になったようだな」
と昔のテレビドラマのような事を言って凄んでくる。

はあ、おそらく一松兄さんか、もしかしたらチョロ松兄さんあたりかな・・。

からまれたら、上手く逃げずに相手をボコってしまうのは
ほんと、学生時代ならまだしも、この年になってケンカとかやめて欲しい。

僕は相手を見る。
男6人兄弟で育ったおかげで、
ケンカのやり方は心得てる。

負ける相手ではなさそうだけど、
二人相手だと手こずりそうだな、
それよりも、買ったばかりの服を汚してしまうのが口惜しい。
真っ白いシャツはブランド物で、絶対に汚したくは無い。

さてさて、どう切り抜けるか
と一息ついたところで、

「お礼をしてやるぜ!」という、これまた一昔風のセリフを言われたところで、

胸ぐらをグイと掴みかかられる。

僕が手を出そうをした瞬間に、
相手の男は崩れ落ちた。

どうやら後ろから、強烈なケリが入ったようだ、もう一人の男も、「仲間か?」怒鳴り
その人物になぐりかかろうとしたところで、
相手にヒョイとかわされて

みぞおちに蹴りを加えられてうずくまる。

僕は、誰だ?一松兄さん?
と考えたところで、

誰かに「逃げよう」と言って手を引っ張られる。
その手は、兄弟の誰でもない白くて綺麗な手だった。

手を掴まれて、二人で走る。
前を走るのは、女の子だった。

僕はビックリして状況を反芻する。

えっと、絡まれて、その二人を蹴り倒し
助けてくれたのが、お、女の子??

ちび太がよく屋台を出す公園まで走って逃げてきて、
ようやく二人で立ち止まり、
息を整えて、顔を見る。

「大丈夫でしたか?」と言って女の子が振り返る。

「あ、ありがとう」と僕が返事をすると。

彼女はビックリして、
「え・・・男の子?」と今更言う。
「ごめんなさい、ピンクの服しか見えなくて
女の子が絡まれているかと思っちゃって・・」
としどろもどろになっていく。

「ううん、助けてくれてありがとう!ねえ、名前教えてよ。僕は、松野トド松です。」
と笑って自己紹介してみる。

アレだけ強いのに、可愛い女の子だ。
髪はあごのラインで切りそろえられて、
Tシャツとデニム。
さっぱりとした格好をしていて、
かわいいというより、シンプルな僕の周りにはいないタイプだなと思った。

「どういたしまして、ご無事でよかったです。

とニッコリ笑う。

彼女は、そのまま帰ろうとしたが、
僕は無理矢理、お礼がしたいからと言って

連絡先を聞き出した。

桜井咲乃ちゃん。

かわいいというより、カッコイイ。
僕は久しぶりに胸がときめいていた。
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