tennis*二次創作*
□俺が勝利を欲する理由▼立海
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"常勝立海"。
聞き飽きたその言葉に再度心の中で溜め息を吐く。
テニスが大好きだった。それは確かに今も変わらない。
ラケットを握れば染み付いた感覚が蘇る瞬間やボールを打ち返せた時のあの清々しさも、全てが好きだ。
だが、今はどこか虚しい。
「…らしくないな、こんな俺は。」
部長になり、個性のある部員達を上手く引っ張ってきている筈だ。そこに喜びを感じている自分だっている。
しかし、どうも引っかかるのだ。
試合とは、勝ち負けだけの存在なのか。自分でも非常に下らない問い掛けだと思う。
きっとこの答えは俺には出せないだろうと思い、時計を見る。
それは、部活動終了時間をとっくに過ぎていた。
「…あ、いけない。もうこんな時間じゃないか。」
ジャージから制服に着替えていたとはいえ、少し部室に長居をし過ぎたようだ。
鞄を持ちながら、慌てて部室を後にする。