★防弾少年団〜ぐくてて〜★

□■月下氷人■
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そんな事があってからもテヒョンのスマートフォンは相変わらず鳴り続ける日々が数日続いて、元々線の細いテヒョンの身体は更に細くなっていった。

流石に他のメンバもテヒョンの異変に気付き始める。


「テヒョナ…大丈夫か?」

「ん?」

「ちゃんと飯食ってる?」

「何だよ、いきなり。勿論食べてるよ〜っ」


テヒョンは何事もないと言うように笑顔を返したものの、ジミンが心配そうに隣に座り、細くなった身体の線を確認するようになぞる。


「テヒョナ、お前は俺がすっごく辛い時に精神的にも、それ以外の部分でも力になってくれた恩人なんだよ。だから、もしお前が何か困ってるなら、俺は何をしてもお前を助けたいんだ。それとも―――俺じゃ、力になれない?」


周りのメンバの存在も気にせず、泣きそうな表情でテヒョンに訴えるジミンを、テヒョンは優しく抱き締めた。


「ジミナ…心配かけてごめんな。けど、お前には大〜〜〜〜〜〜っきな、貸しがあるの覚えてるよね?だから、お前に助けて貰う時はもっともっと、本当に辛い時に頼む予定なんだから、その時まで力蓄えておけよ。あ!ピザ来た〜♪皆、食べよ食べよっ!」


ニィっとジミンに笑顔を向けて届いたばかりのピザを頬張るテヒョンの言葉に、他のメンバはホッとした表情を浮かべていた―――二人を除いては。

皆とピザを争うように食べているテヒョンを見つめていたナムジュンの横に、普段なら真っ先にピザ争奪戦に参戦するハズのジョングクが並んだ。


「ナムジュニヒョン」

「ジョングガ。なんだ、ピザ食べないのか?」

「ちょっと聞きたいことがあって…」


**********


「さっき食べたもの、全部出したの?」


テヒョンがトイレの個室から出ると、ドアに寄りかかるようにジョングクが立っていた。


「ばーか、違うよ」


そう言ってジョングクの隣りをすり抜けるように洗面台に立ったテヒョンを、ジョングクが後ろから抱き締めた。


「ねぇ、ヒョン。俺、毎日ヒョンと同じ部屋で寝起きしてるんだよ?何も気付かないと思ってる訳?毎晩魘されてるし、いつもみたいに笑いかけてもくれないし、話だっていつも上の空じゃん。ご飯だって…何か食べるとすぐトイレに籠るし…皆に気を遣わせないように無理してるのバレバレだし。本当に…変だよ、ヒョン」

「ジョングガ…」

「俺が末っ子だから頼りない?でも、ヒョンより俺の方が体格がいいし、力じゃ負けないんだから。ヒョンの事は俺が守りたいんだ―――」

「本当に…何でもないから」

「ラプモニヒョンには相談出来るけど、俺には出来ない?」

「え・・・?」

「ラプモニヒョンは教えてくれなかったけど、最近いつも二人で深刻そうに話しこんでるじゃん。俺は…ヒョンの役に立てないの?心配しちゃいけないの?」


ジョングクの言葉に、テヒョンは小さく溜息を吐いた。


「気持ちは嬉しいけど、お前を巻き込みたくないんだ」

「ヤダ―――って、言ったら?」

「ジョングガ…何でそんな聞き分けない事―――」

「ヒョンが好きだから」

「…は?」

「だから、俺はヒョンが大大大大大、大ッ好きなの」

「おま…こんな時に何言ってんだよ」


冗談と受け止めたのか、テヒョンが心底呆れたような表情でジョングクを見つめる。


「信じられない?」

「信じるとか信じないじゃなくて―――ちょっ」


ジョングクはテヒョンを抱えあげて洗面台に座らせると、何が起こっているか分からないという表情のテヒョンの柔らかい唇を塞ぐように触れた。


「――――――っ」


両目を大きく見開いたままジッとジョングクを見つめるテヒョンの唇を離して、ジョングクは真顔でテヒョンに話し掛ける。


 
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