他SS

□愛しの愛しの名探偵
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いつも通り予告状を送ったキッド。いつも通り帰り
際にコナンと少しの間の密会時間を楽しむ……はず
だった。

「……名探偵、何か怒ってます?」

名探偵こと、江戸川コナン様が眉間にしわを寄せ、
怖い顔でこちらを睨んできている。

「め、名探偵〜」

ここまでご機嫌斜めなコナンは初めて見た。

「誕生日……」
「へっ?」

コナンが口にした誕生日。
誕生日、この意味はすぐにわかった。

「もしかして、お祝いのことで何かご不満でも…?」

5月4日、コナンの誕生日。
直接祝いに行くのは控えたあの日……

「バーロ…不満しかねーよ。直接、伝えろよな」

目を反らし、少し頬を赤らめているのが
この暗闇でもわかる。

「め、名探偵……」
「ほら、言うことあるだろ」
「あぁ」

コナンを抱き上げ、フッと笑みを浮かべる。

「おい!下ろせキッド!」

暴れるコナンをよそに、「名探偵」と彼を呼び、
そっと耳元でこう呟いた。

「誕生日、おめでとう。大好きだよ」

機械越しじゃない、彼の声。
耳元はじんわりと熱を帯びた。
幸せが、たくさん積もっていく。

「キッド、ありがとう……」

自らキッドの首に手を回し、ギュッと抱きついた。

「ちょっ!名探偵!?」
「今日は特別……」

特別、そう言うコナンが愛しくてたまらなかった。
嬉しくて、幸せで……この思いが伝わるように
「うん」と言葉を返し、さらに強く抱き締めた。

愛しの愛しの名探偵___

(あー、持ち帰りたい……)
(ん?キッド、何か言ったか?)

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