銀魂SS

□辛く、苦しい恋をして、深く、恋に溺れる
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「げほっげほっ、おぇ…うぅ」

口からまた1つ、また1つと紅い花を吐き出す日々。
胃も、喉も、口の中も、気持ち悪くて仕方がない。
吐き出した花だって、唾液まみれだし
綺麗なものなんかじゃない。グロテスクだ。

花吐き病。
片想いをしている人がかかる病。
吐き出した花に触ると、触った人も病にかかる。

「チャイナ……」

花を拾い上げながら、想い人、神楽の名前を口にする。
部屋には、たくさんの花が散乱していた。
これは全て、神楽への想い。
そう考えると素敵なことに聞こえてくる。
しかし、花を吐くという行為は非常に辛い。
ここ数週間は仕事もできず、外にでることさえも
困難となっていた。

「総悟、入るぞ」

毎日のように土方が様子を見に来る。
頻繁に来られてもと思うが、心配をかけてる身、
大人しく土方の優しさを受け取っていた。

「総悟、ゼリー食べれるか?」
「お、いただきまさァ」

食事は喉を通らない。
なので、こういったゼリーなどのもので
栄養を摂っている。

「うん、うまい」

少しずつ口にする。

「それじゃ、また来るな」
「へいへい」

(本当にお人好しだなァあの人は)

昔から変わらない。
こちらがどんな態度を見せても、最後には
絶対に優しくしてくれる。

土方が持ってきたゼリーを完食し、壁に背中を預けた。
自分はこれからどうなってしまうのだろうかと
考えながら目を閉じる。
花吐き病は、片想いを実らせなければ治らない。
あぁ、このまま死ぬのかなと不安が募る。
治らなければ、病は悪化していくばかり。
命を落とす危険もあるのだ。

「眠いや……」

少し疲れたようで、睡魔が襲う。
疲労も溜まりやすくなっているようだ。
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