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□迷いの色を捨ててよ
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ぐらりと揺れる視界に高木がいる。
こんな風に見下ろされてているこの状況はいつもと少しばかり違っていて、「いいんだよね?」と高木の瞳が遠慮がちにたずねるけれど、
ここで素直にうなずくオレがいたとしたらオレ達の関係はもっと円滑に進んでいたと思う。
だからわかってよ、それくらい。
どうするのが正解なのかさっぱり分からないオレは、ぎゅっと目を閉じる。
「伊野尾くん、キスしちゃうよ?」
すると降ってきたのは察してくれない高木の冗談みたいな本気みたいな声。
高木は見た目と普段の振る舞いに反して、バカバカしいくらい真面目な男だと思う。
というか、高木、これからすること全部、宣言してからするつもりなの?



やめてよ、オレ、恥ずかしくて死ぬから。



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