日進月歩番外編

□背番号8の男
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「……以上がインターハイベンチ入りメンバーだ」






部活の終わり、部員が全員集められ監督からインターハイのベンチ入りメンバーが発表された。


そしてその中に俺、灰羽リエーフの名前が呼ばれることはなかった。

初心者の俺が、いきなりベンチ入りメンバーに選ばれるなんて無理だと思うかもしれない。







「(悔しいっ!)」







それでも、俺はスゲー悔しかった。

同じ1年の犬岡や芝山は選ばれていたのに。
それに、何だかユキさんに申し訳ない。あんなに練習に付き合ってもらったのに。



そう思っていると、俺はある一つのことに気付く。
























「(あれっ?背番号8のユニフォームだけ誰にも渡されていない……)」





なんでだろう?

何だかムショーに気になった俺は、主将に聞いてみることにした。


































「キャプテン!」

「あ?何だリエーフか。どうした」

「あのっ!何で背番号8のユニフォームだけ誰にも渡さしていないんですか?」

「!」







俺の言葉に主将は黙る。
周りにいた他の2・3年生のセンパイも、同じように黙ってしまっている。

何だか空気が重くなってきて、俺はもしかして聞いちゃいけないことを聞いてしまったのかと思う。







暫くして、主将が口を開く。








「……背番号8は、俺たちのもう一人の仲間の番号だ」

「!」







主将の言葉に、他のセンパイたちも首を縦に振る。

そして次に夜久さんが口を開く。






「今はとある事情のせいで部活に参加できていないけど、あいつは俺たちの大切な仲間だ。あいつがいて初めてW音駒Wというチームが完成する」

「……あいつが戻ってくるのを俺たちは信じてる」







主将がW信じてるWと言った瞬間、俺は背中がゾワッとした。

センパイたち全員がとても力強い目をしていた。

センパイたちにここまで言わせる人ってどんなだろう。



その時ふと、ある人の顔が過ぎった。

























ーーこらー、足を動かせ足を!ーー




















何故、ユキさんの顔だったんだろう。
でも、あの人には不思議に思うところがあった。


ユキさんは、バレーがとても上手い。
それに、ユキさんのレシーブしている姿がなんとなく夜久さんに似ている、と思うことがあった。






「あのーーー」






俺はユキさんのことを聞いてみようとした。
でも、その時ーーー。















ーー条件として、誰にも言わない!ーー







ユキさんと交わしていた約束を思いだした。







「どうした、リエーフ」

「イイエっ!何でもないデス!」









何でもないと言う言葉に、主将たちははあ?みたいな顔をする。











「本当に何でもないです!それではお先に失礼シマス!」









俺は主将たちから逃げるように、体育館を出た。

























「アブねー」





危うく、ユキさんとの条件を破りかけた。
ユキさんとの練習は秘密って言われたもんな!






それにしても……。









「もう一人の仲間か……」









背番号8の人ってどんな人だろう?
早く会ってみたいなあ。


































背番号8の男
(考える度)
(ユキさんの顔が)
(頭を過る)
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