日進月歩番外編

□託される役目
1ページ/3ページ





「「「ありがとうございましたー!」」」
















梟谷学園高校男子バレー部。
それは東京の中でも、強豪校と呼ばれるバレー部だ。

だから、練習内容もかなりハード。

やっと終わった練習だが、このあとは我らがエース木兎さんにトスを上げてくれと言われるのだろう。













「赤葦ー!!」








ほらキタ。
ため息を吐いて、ドタドタと走ってくる木兎さんを見る。








「どうしたんですか?」

「赤葦って、このあと何か予定ある?」





木兎さんの言葉に疑問を抱く。

いつもなら「トス上げてくれー!」と言ってくるのに、今日は違う。




変に思いながらも、俺は木兎さんに答えを返す。







「いいえ、特にはありませんケド……」







俺の答えに、木兎さんはパァァァと顔を輝かせる。


えっ、何ですかその表情。
凄い嫌な予感しかしないんですけど。


そして、木兎さんの口から出た言葉は、俺の想像の遥か斜め上にいっていた。















「じゃあさ、怜の見舞い一緒に行こうぜ!」











えっ?







































そんなこんなで、ほら木兎さんに連れられ俺は今、病院に来ている。










W雪村怜W







実際に会ったことはないけど、良く知っている。

それもこれも、木兎さんがえらく熱弁してくれたからなんだけど。

まあでも、W蒼壁Wの雪村怜と言ったらバレーしている奴は大抵知っているだろう。




そして俺は、W今の状態Wも木兎さんから聞いている。






「おっ、着いたぞ」







木兎さんの声に、ハッと意識を戻す。





ここが、雪村さんが入院してる部屋……。




その扉を木兎さんが叩いた。


















ーーコンコンコン











『はい』












「ヘイヘイヘーイ!見舞いに来たぜ、怜!」

『ありがと。だけど、病院ではもうちょっと静かにしような光太郎』










部屋に入った瞬間、一番最初に目に飛び込んできたのはW蒼壁Wの由来ともなっている蒼い髪。


木兎さんよりも大人っぽい顔に、とてもよく似合っていると思った。




雪村さんの視線が、木兎さんから俺に移動する。









『光太郎、後ろの彼は?』

「ああ!こいつが話していた赤葦だ!」






木兎さんは雪村さんに俺を紹介する。
っていうか、話していたって一体何を言ったんですか。



とりあえず俺は、雪村さんに自己紹介する。







「初めまして。1年の赤葦京治です。
木兎さんから雪村さんのことは、よくお聞きしています」

『俺は2年の雪村怜だ。よろしくな赤葦』






俺と雪村さんは互いに自己紹介を終らせる。



すると雪村さんが、木兎さんに話しかける。








『あ、そうだ。ワリィ光太郎、ちょっと本屋まで月バレ買ってきてくんね?ここ売ってないんだよなー』








この足だとなかなか外出許可もらえねえし。


そう言う雪村さんに、内心ちょっと焦る。

木兎さんにいなくなられては困る。
それだと、俺と雪村さんの二人きりになってしまう。


だけど、そんな俺の願いは通じず。










「おうっ、わかった!赤葦、怜を頼むな!」





と言って、部屋を去ってしまった。




木兎さんがいなくなった部屋に、沈黙が訪れる。



これから一体どうすれば……。




その中で、雪村さんが口を開いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ