日進月歩番外編

□願うは再戦
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ーードバッ










「ナイス牛島!」

「もう一本!」























『ハンパねえな……』






中学3年生、最後の全国大会。
そこで出会ったのは、全国でも三本の指に入ってくるスパイカー、牛島若利。
そいつのスパイクを見て、俺は思わず呟く。








『ブロックいてもいなくても、おかまいなしかよ。ったく……』








ブロックを吹き飛ばすほどのパワー。
今まで出会った中で、こいつは間違いなくNo.1のスパイカーだ。


牛島のスパイクを止めるのは、至難の技だろう。だから、せめて上に上げるだけでも……







『なんて、言わないぜ俺は』







こっちだってMBである以上、ブロックに関してはプライドっていうもんがあるんだ。
絶対に止めてやる……!











ーーキュッ キュキュッ









「牛島!」







キタ。
俺は牛島のいる方へと走る。


指先に力を込め、牛島の目の前に壁を作る。









『(ぜってー止める!!)』






そして、力強いボールが手のひらに当たりーー











ーーガガンッ







「!」

『よっしゃぁぁぁー!』






牛島のスパイクをドシャットした。
思わず俺は叫び声をあげる。







「ナイス雪村!」

「先輩っ!最高のブロックです!」





チームメイトたちも、俺と変わらないぐらいの声を出す。










『!』






ネットの向こう側を見ると、牛島がじっ、とこっちを見ていた。
何が言いたいのかは、目を見ればわかった。









ーー次は抜く








ブルッと鳥肌が立つ。


本当に恐ろしい奴だ、こいつは。
未だジンジンと痛む手を握る。







『俺だって負けねえよ』










































ジャァァァーー






体育館の外に出て、頭から水を浴びる。
結果は2ー1で白鳥沢の勝ち。
俺たちは負けた。
ただその事実だけが重くのしかかる。










『くっそ……!』






悔しいっ、悔しいっ……!これで終わりかよ。まだ、あのコートに立っていたかったのに!



すると、一つの足音が俺に近づいてくる。誰だ?と思い顔を上げる。










「W蒼壁Wだな」

『!』






そこに立っていたのは、先ほどまでウチと試合をしていた白鳥沢学園のエース、牛島若利だった。







『な、なんでここに』

「お前に、伝えたいことがあって来た」

『伝えたい、こと……?』

「今日の試合、結果は白鳥沢の勝ちだが、俺とお前の個人的な勝負は五分だ」

『!』

「俺のスパイクをあれだけ止めたのは、お前が初めてだ蒼壁。……次は高校の全国にてお前を待つ」







俺を待つ、か……。
つまり牛島は、俺の実力を認めたってことだよな。

しだいに嬉しさが込み上げてくる。








『当たり前だ。次はお前を徹底的に止めてやる』

「やってみろ。……できるものならな」




俺たちの間で火花が散る。






『あと、俺はW蒼壁Wじゃねえ。雪村怜だ。よーく覚えておけよ。お前を倒す名前だ』

「!ああ、覚えておこう雪村」






「じゃあな」と言って牛島は去る。






そうだ。俺たちにはW高校Wという舞台が残っている。
まだ、白鳥沢とやるチャンスはあるんだ。








『よっしゃ!』







蛇口の水を止め、チームメイトが待つ場所へと向かう。












ーー高校で絶対リベンジだ!


































願うは再戦
(そして4月)
(俺は音駒高校に進学した)
(牛島とのリベンジを果たすため)
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