日進月歩番外編

□ライバルとの出会い
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高校1年生の夏休み、俺はあいつと出会った。




















ーードガッ








「よっしゃぁぁぁ!」





音駒、梟谷、森然、生川高校との夏休み合宿。
現在俺たち音駒は、梟谷学園と試合をしている。

梟谷が1セット目をとり、迎えた2セット目。

目の前にいるこの男に、俺は震えた。











「木兎ナイスキー!」







その男は、木兎光太郎。
中学時代から有名だったから、顔と名前は覚えていた。

しかし、公式戦では一度も対戦することなく中学を終えた。
だから、こいつのスパイクを間近で見るのは初めてだ。











『すげえな……』





俺は思わず、そう口に出していた。

こいつには、牛島とはまた違った魅力がある。










ーー止めてえ。






こいつのスパイクを、俺が止めたい。
気がつけばそう思っていた。








『木兎、止めるぜ』































ーードバッ





「ナイスキー木兎!」







ーーガガンッ







「ナイスブロック雪村!」








これで何度目だろうか、こいつと対峙するのは。
あいつが打ち抜いて、俺が止めての繰り返し。

正直、しんどい。でも、すげー楽しい。

こいつが目の前にくると、ワクワクくる。
絶対止めてやるって、思っちまう。


チラリと得点板を見る。


22ー24か。あと1点で俺たち音駒の勝利だ。






「キャプテンナイッサー!」




キャプテンがサーブを打ち、相手コートへとボールが入る。






さあ、誰にくる!綺麗にセッターに返ったから、センターからの速攻か!?








「レフト!」




っ木兎か!








「ぜってー決める!」




木兎が叫ぶ






『止める!』





俺も叫んでいた。そしてーー。











ーーガガンッ!







『っしゃあ!』





俺が勝った。












































「おい!音駒の雪村!」





試合終了後、木兎が俺に声をかけてきた。







『ん?なんだ』

「お前W蒼壁Wの雪村怜だろ!?俺、木兎光太郎!」





木兎は俺に自己紹介する。まあ、お前のことは知っていたんだけど。


それにしても、こいつも俺のことを知っていたのか。
でもまさかW蒼壁Wまで知っているなんてなあ……。
いったい誰だ、そんなあだ名を付けた奴は。









『おう。俺もお前のこと知ってるぜ。中学のとき、全国でも名高いスパイカーだったからな』

「そ、そうか?」






木兎は満更でもなさそうに、目をキョロキョロと動かしている。



こいつ、もしかして単純……?




「って、それよりも!」と思い出したように木兎が言う。






「雪村のブロックスゲーな!俺、あんなにブロックが上手い奴初めて会った!」






目を輝かせながら言う木兎に、褒め過ぎじゃね?と思う。



俺だってそうだよ。
あれだけ力強いスパイクを打つ奴に会ったのは、牛島以来だ。

それに牛島と違うところは、こいつは俺をワクワクさせるってことだ。
こんなスパイカーに会ったのは、初めてだ。







「雪村、練習終わった後の俺の自主練に付き合わねえ?」





木兎は俺に、自主練を誘ってきた。



そうだな。こいつとなら、いい練習ができそうだ。

俺は木兎と一緒に、練習することに決めた。







『いいぜ、やろう』













こうして俺たちは、この合宿中毎日一緒に練習した。
そして、試合と練習を重ねるうちに、






「もう一本行くぜ!怜!」

『何度でも止めてやるよ、光太郎!』





俺たちは互いを好敵手と認め、名前で呼び合っていた。





それは変わらず現在もーー。
























「ヘイヘイヘーイ!俺の勝ちだぜ怜!」

『安心しろ。次は止めてやる』





俺たちはライバルとして、互いに高め合っている。




















ライバルとの出会い
(あの時のことは)
(今でも鮮明に覚えている)
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