日進月歩番外編

□監督から見た蒼
1ページ/2ページ








「もっと声出せーー!」

「福永ナイスコース!」

「っ、スマン!フォロー頼む!」




GWの宮城遠征が終了し、音駒というチームはインターハイ予選に向けて動き始めた。
それぞれ、遠征によって得るものがあっただろう。
特に烏野との試合は充実していたからな。
だが、一番の収穫といえば……。







『虎ナイスだ!走、ブロックの時はきちんと整えろ!余計なブロックはレシーブの邪魔だからな』




W蒼壁Wこと雪村怜の帰還だろう。

事故で負った膝の怪我により、部から身を引いていたがこのGW明けに無事、部に復帰した。
いろいろと悩んでいたみたいだが、もう大丈夫だろうな。



この数日間、雪村のことを見てきたがあいつは非常に優秀なプレイヤーだ。
ブロックの技術はさながら、サーブ、スパイク、レシーブも申し分ない。
いわゆる彼は全国区のプレイヤーなんだろう。

しかし、雪村を評価するのはプレイヤーとしてだけではない。
彼自身気付いているかどうかはわからないが、雪村はチームに欠かせない人間だ。

GWが明け、チームに戻った彼は驚くほど自然にチームに溶け込んだ。
2・3年生はともかく、まだ顔を合わせたことない1年生ともすぐに打ち解けたのだ。
これには儂も驚いた。
おそらく彼の人柄がそうさせたのだろう。
今では全員から頼られる存在だ。





「今年の3年生は粒ぞろいだな」



主将の黒尾は言わずもがな、チームの大黒柱。
そしてブロックの司令塔をも務める。
黒尾のブロックスキルは雪村にも引けを取らない。

副主将の海は一見目立たないが、問題の多い後輩たちの仲介役を務める。試合でも常に冷静で、サポート力に優れている。

リベロの夜久は、守備の音駒の守護神である。
守備に関しては彼が司令塔を務めており、皆が彼に頼りっきりだ。

そして、雪村。彼は音駒の精神的支柱である。
試合では黒尾とともにブロックの司令塔を務め、ベンチではチームのサポーターとして貢献している。
試合にフルで出られないことを申し分ないと言うが、彼がいるのといないのではチームの雰囲気がガラリと変わる。
一番チームに欠かせない人間は、もしかしたら雪村なのかもしれない。






「フォッフォッフォッ、面白いチームだ」



本気で全国を目指す彼らに、儂は全力で向かい合おう。このチームなら全国に行けると儂も信じておるからな。



























監督から見た蒼
(せめて悔いの残らない試合を)
(1年後には別のチームになっているのだから)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ