日進月歩番外編

□守護神の想い
1ページ/2ページ







「うちのエースのスパイクあんなにちゃんと拾える人、初めて見ました。あんだけ全員レシーブのレベルが高いチームで、リベロの座にいる実力やっぱスゲェと思いました」

「……」

「俺も負けないっス!失礼します!!」

「あっコラっ!そんな一方的に……」









GW、宮城での遠征で最終日に烏野高校と試合をした。
試合後烏野のリベロが、俺にいろいろ言ってきたが正直恐ろしいなと思った。




「な、なんかスミマセ……」

「ヤバイっスね」

「え?」

「彼だって相当レベルの高いリベロなのに、慢心するどころかひたすら上だけを見てる……。恐いっスねェ」






だけど、俺だって負けてられねえ。
それにまだ"揃って"ないんだ。

烏野のリベロにとってエースの存在は大きいのだろう。さっきの言葉がそうだ。
あの言葉はエースへの信頼の証。
チームの、エースの背中を護ることに誇りを感じているのがわかる。


でも、俺は?

レシーブのチームである音駒でリベロを務めていることに誇りは感じる。
だけど、俺が護りたい背中はまだ揃っちゃいない。















ーー背中は頼んだぜ!衛輔!ーー











そう笑顔で言ったユキの姿が今でも想い浮かぶ。









「菅原くん、だったよね?」

「あっ、はい」

「リベロの彼に伝えてもらってもいいかな?」

「?」

「次に試合するときには、蒼い壁に気をつけてねって」

「蒼い壁、ですか?」






目の前の菅原くんは、困惑したように俺を見る。
まあ、そうなるのは当然だと思う。
これは俺たちにしかわらないことだから。

でも、次会うときにはきっとわかる。
俺たち音駒の、もう一人のメンバーが。







「今の俺たちは、完璧じゃない。一人足りない状態だ」

「!それって……」

「そいつが帰ってきたときに、本当の音駒というチームが完成する。……次会うときには、紹介するよ。俺の親友を」

「……俺たちももっと強くなります。そして次に会うときには、俺たち烏野が勝利をもらいます!うちのエースはその人にも負けませんよ」






俺と菅原くんは同時に笑う。






GWが明けたら一度、ユキとちゃんと話をしよう。

俺は……ううん。
俺たちは今日の烏野との試合で実感したんだ。
やっぱり、音駒というチームにはお前の存在が必要なんだって。

点を取られる度に思った。
ここに、ユキがいてくれたら、と。

試合中、誰よりも大きく感じる背中。
知らない内に俺たちはお前に助けられてたんだな。


次は俺たちの番。
俺たちがユキを支える。
足が動かないなら、俺たちがお前の分まで動く。
倒れそうになったら、俺たちが肩を貸してやる。


だから、早く戻ってこい。
ユキーー。
































守護神の想い
(コートに立つ蒼の姿が)
(早く見たい)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ