日進月歩番外編
□守護神の想い
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「うちのエースのスパイクあんなにちゃんと拾える人、初めて見ました。あんだけ全員レシーブのレベルが高いチームで、リベロの座にいる実力やっぱスゲェと思いました」
「……」
「俺も負けないっス!失礼します!!」
「あっコラっ!そんな一方的に……」
GW、宮城での遠征で最終日に烏野高校と試合をした。
試合後烏野のリベロが、俺にいろいろ言ってきたが正直恐ろしいなと思った。
「な、なんかスミマセ……」
「ヤバイっスね」
「え?」
「彼だって相当レベルの高いリベロなのに、慢心するどころかひたすら上だけを見てる……。恐いっスねェ」
だけど、俺だって負けてられねえ。
それにまだ"揃って"ないんだ。
烏野のリベロにとってエースの存在は大きいのだろう。さっきの言葉がそうだ。
あの言葉はエースへの信頼の証。
チームの、エースの背中を護ることに誇りを感じているのがわかる。
でも、俺は?
レシーブのチームである音駒でリベロを務めていることに誇りは感じる。
だけど、俺が護りたい背中はまだ揃っちゃいない。
ーー背中は頼んだぜ!衛輔!ーー
そう笑顔で言ったユキの姿が今でも想い浮かぶ。
「菅原くん、だったよね?」
「あっ、はい」
「リベロの彼に伝えてもらってもいいかな?」
「?」
「次に試合するときには、蒼い壁に気をつけてねって」
「蒼い壁、ですか?」
目の前の菅原くんは、困惑したように俺を見る。
まあ、そうなるのは当然だと思う。
これは俺たちにしかわらないことだから。
でも、次会うときにはきっとわかる。
俺たち音駒の、もう一人のメンバーが。
「今の俺たちは、完璧じゃない。一人足りない状態だ」
「!それって……」
「そいつが帰ってきたときに、本当の音駒というチームが完成する。……次会うときには、紹介するよ。俺の親友を」
「……俺たちももっと強くなります。そして次に会うときには、俺たち烏野が勝利をもらいます!うちのエースはその人にも負けませんよ」
俺と菅原くんは同時に笑う。
GWが明けたら一度、ユキとちゃんと話をしよう。
俺は……ううん。
俺たちは今日の烏野との試合で実感したんだ。
やっぱり、音駒というチームにはお前の存在が必要なんだって。
点を取られる度に思った。
ここに、ユキがいてくれたら、と。
試合中、誰よりも大きく感じる背中。
知らない内に俺たちはお前に助けられてたんだな。
次は俺たちの番。
俺たちがユキを支える。
足が動かないなら、俺たちがお前の分まで動く。
倒れそうになったら、俺たちが肩を貸してやる。
だから、早く戻ってこい。
ユキーー。
守護神の想い
(コートに立つ蒼の姿が)
(早く見たい)