日進月歩番外編
□託す夢
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・もし夢主が黒尾たちの幼馴染な大学生なら
「託す夢」
「えー、と言う訳で今日はOBの雪村先輩が練習を手伝いに来てくれました」
『鉄朗から先輩呼びとか気持ち悪……ゴホンッ!どーも雪村怜です。3年生、2年生組は久しぶり。1年生は初めましてだな。去年の卒業生でポジションはMBだ。今日はよろしくな』
「「「よろしくお願いシャース!!」」」
ついこの前春高出場を決めた今年の音駒バレー部。
今日は幼馴染でもある鉄朗に頼まれて練習を手伝いに来た。
みんな変わんないなあ、と思っていると笑顔で俺に駆け寄ってくるやつが一人。
「ユキさんお久しぶりっス!俺、スパイク見て欲しいです!」
『おう虎、相変わらず元気だな。もちろんいいさ。後でブロック飛んでやるよ』
「……」
『わかってるわかってる。招平もな』
「お前らーーー!ランニングーー!!」
『ほら鉄朗が呼んでるぞ』
鉄朗の声で二人はチームの元へと戻っていく。
うんうん。やっぱり後輩っていうのはいつになっても可愛いよな。
外へとランニングに向かう彼らの背中を見てそう思う。
『さて、俺も準備運動始めるか』
どれだけ奴らが強くなってるか楽しみだ。
*****
ーーバシンッ
『虎ーー!ジャンプの踏み込み甘いぞ!もっと飛べるだろ!』
「ウッス!!」
ーードバッ
『衛輔!反応が遅い!』
「ッハイ!」
ーーバコンッ
「招平ーーコースはいいが腕振り切れてねえぞー!」
「……!!」
「っし一旦休憩!!」
『ふう……』
いやはや、後輩の成長って言うのは早いものだ。3年生の安定感はもちろん、2年生もなかなか。
1年生もまだまだ粗いが粒揃いだ。
特にあの灰色の、
「雪村サン!!」
『うおおおっ!びっくりしたってお前は…』
「灰羽リエーフです!雪村さんのブロック凄かったッス!こうズババババーンって!」
『ズババババーンの意味はわからんがありがと』
「俺もあんなかっこよくブロック決めたいです!」
キラキラした目で俺を見つめてくるリエーフ。
練習中聞いたがこいつは高校からバレーを始めた初心者らしい。
技術は拙いが、俺から見ても素材はピカイチ。
こいつが3年生になった時が楽しみだ。
『かっこよく決めるブロックだけが全てじゃないからな』
「?」
『学べよリエーフ。3年間なんてあっと言う間だからな』
*****
「よし、今日はここまで!!お前ら集まれー」
日も暮れ、ようやく練習が終わる。
鉄朗の呼びかけによりバレー部員がぞろぞろと集まってくる。
「じゃあ、雪村先輩一言お願いします」
『え、』
予想外の指名に思わず声がでる。
鉄朗を見るとニヤケ顔でこっちを見ていた。
こいつ……。
ゴホンっと咳払いをして皆を見る。
『あー、先ずは春高出場おめでとう。練習に参加して、2・3年生は去年に比べて見違えるほど強くなってたし、1年生もまだまだ強くなるなと思ったよ。自信持って春高に出場してくれ』
もちろんこれは俺が思っていること。
だけど、本音を言えば……。
『羨ましいよお前らが。俺も春高出場を目標に掲げてやってきたけどそれは叶わなかった』
だからさ、
『勝てよ。俺の夢の続きをお前らに託したからな。音駒の力全国で見せつけてこい!!』
「「「「ハイッ!!」」」」
力強く頷く彼らに、俺は安心した。
託す夢
(応援絶対行くからな)