淡く光る

□日向
2ページ/16ページ


【1】

「ほたるいるか〜?って、あれ?」


部活の休憩中

差し入れのお菓子をほたるにも渡すため手芸部の部室にやってきた

月島が持って来たらいいのに押し付けやがって


「ほたる?居ないのか?」

『…………、……』

「ほーたーるー?ん?」

『…………』

「あれ?ね、寝てる?」


机にうつ伏せのまま反応の無いほたる

ゆっくりと上下する背中

部活中に居眠りなんて駄目じゃないのか?


「それにしても月島にそっくりだよな……」


初めてほたるを見た時の事を思い出す

あの時は月島が女装してるとしか思えなくて頭が混乱したのを覚えてる


『んぅ……』


ぴくりと動くほたる

まだ目は覚まさない

何か夢でもみてるのか?

あ、眼鏡掛けたまんま

痛くないのかな


「睫毛なが……」

『……』

「髪の毛きれー……」

『……』

「唇とか柔らかそう……って!何言ってんの!?俺!!」

『ぅ、ん……』

「っあ!」


慌てて口を閉じる

なんか今ほたるに起きられたらヤバいような気が


『………、ん』


小さく呻いて身動ぐ

枕にしていた腕を伸ばしたかと思ったら、そのまま頭を抱えるように腕を頭の後ろへ持っていくほたる

顔、痛くないのかな?

っていうか

あれ?

なんかほたる可愛い

ほたるがめちゃくちゃ可愛く見えるんだけど!?

そりゃほたるだって女だもんな

可愛くたっておかしくはない

確かに田中先輩とかほたるのこと美人だって言ってたし

ちょっと待て

なんか変だ

なんか胸のあたりがドキドキして………

って、え?

うそ……

俺、ドキドキしてる?

な、なんで?

なんで俺ドキドキしちゃってんの?

てかほたるってこんなに綺麗だったっけ?

え?あれ?


「…………………どうしよう……俺………」


心臓がバクバクって

胸が苦しい

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ