番外編

□海と水着とほたる
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【海と水着とほたる】


『私やっぱり帰ります』

「ダメ」

『恥ずかしいです、無理ですって』

「えー!可愛いのにー!!」

『185ある女が水着とか拷問デショ』

「そんなことない、すっごく似合ってるから」

『潔子さん、でも……』

「お、来た来た」

「うぉおおおおおおおお!潔子さんの水着姿!!」

「ノヤ!潔子さんを狙う不届き者を発見した!」

「ぬうぁにぃ!?行くぞ!龍!!」

「おう!!」

「程々にしとけよー」

「相変わらずうるさい」


騒ぐ先輩の隙間から見えたマネ三人

嫌がるほたるをずるずると引きずるようにしてこちらへやってくる


「うわー……」

「なんだ、これ……」

「すげー……」

『っ、やっぱり帰る』

「だっ、だめだよ!ほたるちゃん!」

『だってみんな引いてるし……』

「ち、違うよほたるちゃん!」

『違わないデショ』


引っ張る谷地さんと逃げようともがくほたる

なにこれ笑える


「ツッキーなにしてんの?」

「あとで見せてあげようと思って」

「写真?あ、ムービー……?」

「そ」


グレーのレースワンピの水着を着たほたる

水着とか絶対に着ないし

っていうか体育のプールの授業でもなにかと理由つけて見学ばっかりしてるし

これは滅多にないチャンス


「ほたる、似合ってるな!」

『………え』

「だから水着!」

『いや、気持ち悪いだけデショ』

「んなことねーよ、なんかモデルみたいだし!」

『はぁ?』

「そうだよほたるちゃん!可愛いって!」

『だから185ある女が水着とか』


日向と山口相手に狼狽えるほたる

なにこれ

ホントに笑えるんだけど


「いや、マジでモデルみたいでヤバい」

『え、さ……澤村さん……?』

「うんうん。モデルそのものだよ、ほたるは。可愛いし美人だしスタイルいいし。なんだよ、女神か!」

『ちょ、菅原さん?』

「女神かぁ。あれかな?勝利の女神、みたいな?」

『東峰さんまで……』

「いや、普通に美の女神でしょ。てかそれは潔子さんもですけど!」

『………に、西谷さん』

「ダブル女神か!!烏野に舞い降りた美の女神!」

『田中さんも……』

「もう戻ってきたのかよ。ていうかほんとにモデルみたいだな、ほたるは。なんか見慣れてないせいか新鮮」

『あ、あの……縁下さん?』

「雑誌とかに載ってそうだな、お前」

『なに言ってんの、王様』

「だからモデルみたいって言ってるんだろ!てかモデルそのものだって!」

『私はいつからモデルになったの、日向』

「ほんとに綺麗だね!なんか傍にいるのが罰当たりみたい」

『山口、ちょっと意味わかんない』

「ほたるちゃんすっごく可愛い」

『き、潔子さん……』

「うんうん!可愛いし綺麗だし美しい!」

『……仁花ちゃん?』

「素直に喜べば?みんな褒めてくれてるんだし」

『蛍………っていうかなにしてんの』

「え?」

『どぼけないで』


みんなに囲まれながら困った様子のほたるが僕がなにをしているのか気付く


『ちょっと、ありえないんですけど』

「あとで観せてあげるから」

『そんなの望んでないし、てか録るのやめて』

「ちょっと!触ったらぶれるだろ!?」

『なんで蛍が切れてるわけ?こっちが切れたいんだけど!?』

「こらこら、喧嘩はよしなさいよ」

「そうそう、楽しむべ」

『いや、楽しめる気がしないんですけど』

「泳ごうよ!ほたるちゃん!」

『え、ちょ、仁花ちゃん?待って、そんな引っ張らなくても』

「潔子さんもー!」

「私はあとから行くから」

「待ってますねー!」

『仁花ちゃん!?』


来たときと同じように引きずられていくほたる

とりあえずほたるの姿が見えなくなってから録るのをやめる

当然保存はした


「なぁ、月島」

「なんですか菅原さん」

「あとで俺にも観せて、ソレ」

「あ、いいなー。俺も観たいかも」

「可愛いかったもんな、ほたる」

「観せるのは別にいいですけど」

「やった!」

「俺あとで写真撮ろうかな」

「俺も絶対撮る」

「んで、みんなに自慢してやる」

「うちのマネはこんなにも可愛くて美人な女神だぞー、って」

「あぁ」

「ほたるが知ったらあれですね」

「あれって?」

「めちゃくちゃ怒る」

「………だろうなー、ははは」


海辺へと消えたほたると谷地さんの方を向いてみんなが乾いた声で笑う

とりあえず消去されないように気をつけておこうと決めた


−−−−−
季節が早いような気がするけど遅いよりはいいかな、って

蛍みたいに背が高くて、蛍みたいな顔なら多分きっと超絶美人だと思うんだよね、ほたる


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