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□若虎と対面
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「さ、御影ちゃん。旦那が待ってるからそろそろ行こうか。」


私に足袋を履かせ、着物を綺麗に直してくれながら佐…………御主人がそういった。頷いて返事を返す。


「天井裏と廊下、どっちから行きたい?」


「…………天井裏からこんにちはしたら、失礼じゃない?」


「また可愛い言い方するね、御影ちゃんは…………。天井裏って言っても、ちゃんと部屋の前まで来たら廊下に降りるって。俺様だけなら天井裏から行くけど、今回は御影ちゃんいるしね」


「そっか。……じゃあ、天井裏がいい」


「はいよ。じゃ、行くよ」


そう言いながら、御主人は私を横抱きにしてその場から飛んだ。一瞬にして、和室から天井裏に移動する。薄暗くて天井が低いけど、埃もなく日頃使われているのがよくわかった。


そんな事を考えていると、突然景色が横に流れていった。御主人が走り出したからなのだけど、振動という振動がないせいで、そういう映像を見ているみたい。


「……すごい」


「これくらい序の口だよ?御影ちゃんもこれくらいは最低限できるようになろうねー」


「……が、頑張る…………」


こんな人間離れした速さで自分が走れるのだろうか?


「御影ちゃん、良くも悪くも筋肉が必要最低限くらいしかないから…………本来なら子供の時からやらなきゃいけないけど、もしかしたら訓練すれば可能性はあるよねー」


「……佐助さん、子供の時から訓練してたの?」


「まあね。ほら、そろそろ着くよ」


そんな声に、彼の方を見ていた視線を前方に向けると、何故か黒ずくめの人達が数人いた。誰かな、と思うと同時に、忍の格好しているな、とも思う。きっと、御主人の部下の人達だ。そう思いながら頭を下げると、ちょっとだけ頭を下げてくれる人もいた。


でも御主人はその人らをちらっと見ただけで声をかけずに、その手前で止まると足元の天井板を外してそのまま下に降りた。


一気に視界が明るくなって、眩しさに思わず目をつぶる。すぐに開けると、御主人がゆっくりと私を床に立たせてくれた。


「旦那の部屋は、ここの右の3つ隣。緊急時以外は直接部屋の前に降りたり、部屋の中に突然入っちゃダメだからね」


「うん。」


「覚えた?ちなみに御影ちゃん、敬語は使える?」


「…………ですます口調だよね?意識すればできるけど、簡単なのしかわかんない。…………お初にお目にかかりますとか使う?」


「あ、知識はあるのね。」


時代劇で見たから…………と思いつつ頷くと、じゃあ大丈夫かな、と御主人は笑う。


「というか旦那だから、細かい事気にしないと思うし、多少間違っても大丈夫だよ。とんでもなく間違ってたら俺様が助言してあげる」


ウインクしながら言うのがこんなにも似合う人っていたんだ。女の人はきっとこういう人が好きなんだろうし、顔も良いから御主人モテそう。


「うん、ありがとう御主人」


「あ、入る前は俺様の後ろに正座して待機するんだよ」


「うん」
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