ひだまりの日々[完結]
□九刻
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段々と繋がれた手と手は熱を帯びてきた。
ちらりと名無しを見ると羞恥に耐え、時々花火の灯りにてらされた頬は見事に染まっていた。
(そんな顔をするでない!吾輩も我慢が利かなくなるではないか!)
すぐさま手を引いて抱き締めたい衝動にかられ、その姿を見てしまった事を後悔するのだった。
「名無しちゃんもくるズラよー!!」
コマさんがこちらを向き名無しを呼んだ。
途端にどちらともなく手を放し慌てるように言葉を紡いだ。
「じゃあ私ちょっと行ってくるね!」
「あぁ!行って参れ。」
ぎくしゃくした会話の後、離れてゆく名無し。
小走りの名無しを見つけた大ガマは今まで手中にあった名無しの手を取り皆の輪のほうへ誘導した。
名無しの手から目が離せず、自分の手が熱く感じられた。
(欲が無いなどと……名無し。見当違いも良いところだぞ。)
こうして夜も更けてゆくのであった。