かえるのお姫様

□1day
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合戦も終止符を打ち、平和な平釜平原。本家屋敷には日々、女子妖怪の喋り声が絶え間なく響いていた。

「大ガマ様また遊んでくださいね?」
「今度は二人っきりでお会いしたいわぁ。」
「抜け駆けなんてズルいわよー!」

「おいおい!レディ同士の喧嘩は良くないぜ!そうだなぁ、ここは順番にだな!」

そう言って笑う。
すると今度は順番を巡って言い争いが始まる始末。
本家大将の大ガマは容姿から言動まで女子妖怪のハートを鷲掴みし、大将という地位も加わって絶大な人気となっていた。
誰もが大ガマの隣を狙っている程だ。

言い争いを聞きながら満足そうな大ガマは今度は自分から訪ねると優しく諭し、女子妖怪達を帰した。

静かになった部屋にどろんと煙がたった。

「あー煩かった。ここは合コン会場じゃないんだから女の子侍らせるのやめてもらえるかな?」

「いいだろー?俺に会いたくて来てくれてるんだ。可愛いじゃねぇか!」

「そんな純粋な気持ちばかりじゃないと思うけどね。君のその目は飾りか何かかい?」

「俺は言われた事しか信じねぇ達なんだよ!」

「そんなんじゃ、この屋敷が女に食い潰されるのは時間の問題だね。」

「なんだと!
あっ、キュウビお前女に囲まれた事ねぇから僻んでんだろ!」

かっかと笑う大ガマ。

「馬鹿は休み休み言ってよ。
それに僕はあんな見え透いた好意を寄せる女達に囲まれたって何一つ嬉しくないね。」

「見え透いたってなんだよ!!」

「さぁね。もしこっちが危なくなったら僕もあちらさんにつく事にするからね。よろしく。」

「おい!キュウビ!」

どろんと再び煙がたち消え去ってしまった。
そしてまたしんとした屋敷。
むしゃくしゃし部屋にごろりと寝転ぶ。

(あー暇だ。こんな事なら一人くらい残しておきゃよかったぜ。
ったく、キュウビの奴にも要らねぇこと言われるしよ!)

目を瞑り眠りに落ちそうになった時、意外な訪問者が屋敷にたどり着くのだった。
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