かえるのお姫様
□13days
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駅前に着くとハロウィンで賑わう人で街は色めき立っていた。
大ガマはぐるりと駅前を見るも名無の姿は発見できなかった。
(やっぱ遅かったのか!
そういやカフェでって手紙にあったな。
乗り込むか?!
……いや。それはないよな……
……っ!けど、もうかっこ悪りぃとか嫌われるとか考えてる場合じゃねえだろ!)
自分を震い立たせてまた走り出し、待ち合わせ場所であろうカフェにたどり着いた。
(ここか……あっ!)
カフェの二階部分はガラス張りになっていて、その一角に名無が座っているのが見えた。
(名無のやつ、あんなに粧し込みやがって……)
窓辺に座る名無はアクセサリーの数は少ないものの、店にいる時と変わらないくらい女性らしい格好で大ガマには輝いて見えたのだった。
(俺にはあんな姿は見せないくせによ……)
街路樹の陰から様子を伺う大ガマは名無を見るだけで痛みを感じて立ち去りたい気もしたが、少しづつ違和感を感じていった。
(そういや名無一人だな……相手は店内にいないのか?)
その後数十分待つも男は現れず、名無を良く良く見ると寂しげな表情をしていて、遠くを見つめ自分で頼んだであろう飲み物をストローでかき混ぜ、全く楽しそうではなかった。
(あいつは遅刻してくるのか?
だったら今名無の所に行って伝えるしかねぇ!!)
そう思い立って店に入り大ガマは名無の元に急いだ。
店内の階段を駆け登り、さっき外から見えていた席に一直線。
名無が見えると堪らずに名前を呼ぶのだった。
「名無!!」
「おおがまさん?!どうしてここに……」
「そのっ、俺っ……って……名無?どうした?!」
「おおがまさん……」
名無は小さく大ガマの名前を呼ぶと、みるみるうちに目に涙が溜まり流れ出すのだった。