かえるのお姫様
□17days
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名無とのプレゼント交換も終わり、買い出しも終了。
二人は店の出口へと向かった。
「うー。また寒ぃのか……。」
「おおがまさん。これ良かったら使ってください。」
名無から渡されたのはポケットカイロと男性用の手袋。
「貰っていいのかこれ?」
「はい。大ガマさんに貰ったストールを思うと渡しづらいんですけど良かったら使ってください。」
「本当、名無は気使い屋だよなぁ。そんなんじゃ疲れちまうぜ?でも、ありがとな!」
「気なんて使ってませんよ?そうしたかったからついつい買っちゃいました。けど、手袋趣味と違ってたらごめんなさい。」
「そんなことねぇよ!暖かいし!」
「おおがまさんこそ気使って私がプレゼント交換したいだなんて言い出したからこのストールくれたんですよね?」
「俺が気なんて使うかよ!俺もそうしたかったからしたまでだ!お互いさまだな!」
そう話をしながら街の通りを出た。
気温は先ほどとそう変わらなかったが名無がくれたプレゼントと、自分が贈ったストールを巻く名無を見ると嬉しさで寒さは和らいだ気がした。
「おおがまさんに荷物持たせちゃってすみません。私も半分持ちますよ?」
「いいって!重い荷物なんざ女に持たせられるかよ!」
「それじゃあ御言葉に甘えてありがとうございます。」
名無はお礼を言った後にふふふと笑った。
「何が可笑しいんだよ?」
「いえ、そういう格好いいセリフはイケメンなおおがまさんが言うと一層映えるなぁと思って。」
「なんだよ!名無はカッコいいとか思ってないだろ!」
「え?格好いいって思ったから言ったんですよ?」
「なんかその感じ違うな……カッコいいって思うならもっとトキメキ感だせよな!」
「そんな事言われても……どうしたら出ますかね?」
「そんなの俺が知るかよ!!」
(ったく、俺が知りてぇよ!!)
いつもの調子で話し店までの一本道まで来たその時、急に名無は話をやめ足が止まった。
「どうした?」
震えているように見える名無は前を見据え、大ガマも目を凝らすと見覚えのある顔。
以前、名無に待ち合わせを持ちかけたあの男が女を連れ前から歩いて近づいて来ていたのだった。
「あいつ!!」
大ガマは男に向かって走りだしそうになったが名無が手を掴みそれを制した。
ふるふると顔を横にふり大ガマを引っ張り元の道に戻ろうとじりりと一歩後ろへ下がった。だが、大ガマは食い下がる。
「逃げんのか?!
名無は何も悪くねぇ!逃げる必要なんてこれっぽっちもないぜ!!」
「でも……」
「大丈夫だ。俺がついてる。だから気を楽にしとけよ。」
そう言うと不安そうにする名無をぐっと力強く抱き寄せ歩き出すのだった。