ひだまりの日々[完結]
□四刻
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「名無しー!!」
轟音と共に聞き覚えのある大声。
「大ガマ!」
名前を呼ぶ声の方へ向かって一直線に名無しにビョンっと飛びついた。
「名無し!久しぶりだなぁ!元気にしてたか?!」
「うん。大ガマも元気そうだね!……ちょっと苦しいな……」
腕と同じにぐるりと名無しに巻きつけていた髪をほどき、肩に手を置き名無しの顔を覗き見る。
「なんだぁ!名無しは暫く見ないうちに美人になったなぁ!」
「またまた〜。」
と、褒め言葉に恥ずかしがる名無しに詰め寄る。
「どうだ!俺のところに嫁に来ないか?!」
「おい!」
ここまで電光石火。たまらず土蜘蛛が声をかけた。
「そんなに褒めたって何も出ないよ。」
「本気だって!!他に誰か心に決めた奴でもいんのか?!」
尚も続く大ガマの発言。
「おい!名無しが困っているだろう!!」
「あ“ー!うっせぇジィさんだなぁ!何か悪いかよ?!こんな美人ほっとけるかって!!」
「何を言う!……吾輩もそうは思うが……だがな!名無しが!」
「あーぁ。嫌だ嫌だ老け込んじまって!!饅頭でもそうだったけどよ。
お前とは感覚が合わねぇんだよなー!美人を美人と言って何が悪いんだよ!?」
「それは吾輩もそうは思っているわ!!」
「あぁ?!」
2人の掛け合いを見ていたキュウビが名無しに耳打ちする。
「さっき伝言役を飛ばしたばかりなのにもう此処へ到着するなんてさぞかし良い走りをしてたんだろうね。
まぁ、今回はうちの大将が凄く喜んでるみたいだから大目にみてあげるよ。君もあんなのに取り付かれて大変だね。ご愁傷様。」
「あはは。2人とも仲がいいんだね。」
繰り広げられる攻防に苦笑いしつつも、なんだか暖かい気持ちになった。