ひだまりの日々[完結]
□九刻
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「はい、大ガマ大将様ろうそくをお持ちいたしましたよ〜。」
「おぅ!えんらえんらサンキューな!キュウビ!これに火種つけてくれよ!」
「なんで僕の術をそんな事に使わなくちゃならないのさ。」
「キュウビ殿、主命を聴く事も近衛の役だ。」
「そうだぜ!オロチ解ってんなぁ!見習えよキュウビ!」
「はいはい。君の命令を片っ端から聴いていたら身が持たないよ。今回だけだからね。」
大ガマが指揮をとり花火が始まった。バケツに水を汲み終え、縁側に座って皆の様子を見ている名無しを見つけ土蜘蛛は隣に座り一緒に眺めた。
「あー重かったー。沢山いるから水バケツ何個も作るの時間かかっちゃった!」
「そのようなもの作らずとも大ガマの術で小火など吹き飛んだろうに。」
「あっ!そうだよね〜。思いつかなかった。あはは。」
「ご苦労であったな。使わなければ後で吾輩が草花にやるとしよう。」
「うん、その時は私も手伝うね。
懐かしいなぁ。前も皆で平釜平原の河原でやったんだよ。」
「そうであったか。吾輩は知らなんだ。」
「誘えば良かったね。土蜘蛛いつも難しそうな本よんだり書類整理したり忙しく見えたから……
って言うよりも……本当は土蜘蛛ちょっと強面だったから話しかけづらかったの。お子ちゃまでごめんね。」
「それは少し堪えるな……」
ごめんごめんと謝りながら微笑む名無しは花火の光に照らされて輝いてみえた。