ひだまりの日々[完結]
□二刻
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いつもと同じ様な日々。
もう何百、何千と繰り返してきた。
妖怪にとってはごく当たり前な事。
今日も妖魔界での議会へ提出する書類の整理に追われている。
(何年か前の怪魔共の一件で戦が起きた事が懐かしいな……名無しはどうしているのやら。)
戦は起きてはならない事だが、名無しと過ごす日々は待遇はしなかった。
(この屋敷の中庭で少女とは不釣り合いな部下と笑い合っている名無しを見ると和んだものだ。)
書類整理の手を止めた……
(妖怪など人間の子供にとっては恐ろしいだろうに……ましてや、蟲の類いの妖怪となれば益々。
なのに名無しは楽しんでいる様だったな。)
その時を思うと威厳ある大将らしからぬ笑みがこぼれた。
名無しとは直接話す事は少なかったが部下を通し饅頭を土産に持ってきたり、部屋に花を摘んで飾ってあったりと思い出せば次から次ぎに浮かんだ。
ただの人間の娘…だが、こんなにも側に寄り添い過ごしてくれた人間はこれまでにはいなかった。