ひだまりの日々[完結]

□三刻
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 屋敷までの道のりの半分を過ぎた。

 歩く振動で名無しが少し動く度に目を覚ますのかと顔を覗き込んだ。

 (なんだ、よく見たら化粧をしているのか……うっすらだが頬紅も。
それに、名無しの口はやけに艶やかな……柔らかそうだが……)

妙にドキリとして歩みを止め、何かが一瞬頭を過ぎった瞬間。
目を覚ました名無しと目が合った。


無言……


 「ぅ……おぉ〜!名無し!久しぶりだ!元気であったか?!!」
 早打ちする胸の音を隠す為、不自然にいつもより声が大きくなってしまった。

 「土蜘蛛?!会えて良かった!」

ぎゅっと手を回されたことにより、一層煩くなる心音に戸惑うのであった。

 (以前はこんな事などなかったが……)
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